ヴァリエンテ【賢者の間2】

「その前に、いくつか確認しなければなりません。猫助さんよろしいかしら」

今日も重そうな深紅のドレスを着た赤髪の少女が、褐色肌の少年に抱かれた三毛猫?に問いかけた。


「『ぽふぽふ』以外で、私たちは目覚めることがあるのかしら?」

三毛猫?は、頭を撫ぜられ目を細めたまま答えた。

「いえ、それはありません。たとえ体を揺すられても頭を叩かれても、目覚めることはありません。そうでないと、ここでの話し合いが続け難いですから」

「なんということだ! それでは暗殺し放題ではないか! そのような危険があろうとは……」

「お前、そんな心配をするってことは……」

ジャンプスーツの少年がニヤニヤしながら言った。


「お口を閉じなさい二人とも。そして二つ目の質問、この部屋の外って、どうなっているのかしら?」

「何もありませんよ。無限に広がる無の空間です」

予想通りとばかりに少女はうなずき、

「では3つ目、移動の魔法で、この部屋の外へは行けるのかしら?」

褐色肌少年の腕の中の三毛猫?は、仰向けでお腹を丸出しにして背伸びしながら答えた。

「どんな方法でも戻ってこられませんので、お勧めしませんが行けますよ」

「あぶねー、ちょっと出かけるとこだった」

「くんくん、私ドラゴンの狩り方が分かったかもしれないよ」

矢筒と弓を背負った狼少女が、両手の拳を胸の前に握りしめ言った。


「最後に、これが一番重要なのですが、この部屋へはゲストを呼べるのかしら?」

「そうですね。体が触れている状態で寝ていて、呼吸のリズムが全く同じなら、もしかすると一つの個体と、魔法に誤認されるかもしれませんので、可能かと」


「『もしかすると』レベルなのか……」

金髪少年が情け無い表情で、つぶやいた。

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