健太【父1】

「最近、家の長男の様子がおかしいんだよ」

とNCフライスの設定を打ち込みながら、有限会社スズキの社長である私は、3次元放電加工機を清掃しているヤマに話し掛けてみた。


 ヤマのところには、健太の四歳年上の息子がいるので、時々子育ての相談に乗ってもらっている。

「反抗期?」

「いやー、そういうやつじゃ無いと思う。厨二病かも?」

「家のと違って、社長とこの坊んは、まだ小学生でしょう」

「でもな、『四つの力以外の力が存在する』とかつぶやいているんだよ」

「ヤバそうですね。でも眼帯や包帯やマントは、身につけてないんでしょ。大丈夫では?」

「それはそうなんだが。『魔素の収集法に共通点があるはず』とかも言ってるし……」

「それは、ちょっとまずいかもしれませんねぇ。しばらく様子に注意した方が良いかもですね」

「やっぱりか」


 家の息子の健太は、赤ん坊の頃からあんまり泣きも喋りもしない子だった。保健婦さんが言うには、別に言葉が不自由と言うわけでは無く、思慮深いタイプなんだそうだ。

 そういえば図鑑めくっているのをよく見かけるし、家の工場で工作機での作業をじっと見ていることも多い。職人気質ってことかと最近は思うことにしていた。


 それが、ここにきて妙な独り言を口走るようになって。健太、父は心配なのだよ。

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