風のささやきが聴こえたら
菊池まりな
第1話 僕の住む世界と君の住む現実世界
「風のささやきが聴こえたら、君はまた、僕のことを思い出してくれるだろうか?」
僕たちは、春風で桜舞い散る季節に出会った。君はまだ高校2年生になったばかりで、将来への不安と希望でいろんなことを考えていただろう。僕は知っている。君のことをずっと見てきたから。
もしも、再び君と出会うことが出来たなら、その時は、永遠に愛を誓うよ。永遠なんて、ないって思っているだろう。確かに現実世界では、永遠という言葉はあるが、必ず終わりがあり、いつも誰かが悲しむ結末だ。でも、僕が存在している世界では、永遠に生きることが出来るため、無償の愛を注ぎ続けることも可能なのだ。永遠に生きること、それはある人にとっては天国かもしれないし、またある人にとっては、地獄なのかもしれない。僕が生きるこの世界では、皆が二十歳くらいの年齢で、それ以上歳を重ねることはない。病気もしないため、病院なんて存在しない。しかし、現実世界では、過度のストレスや食生活の乱れ、その他病原菌などから様々な病気になりうるため、多くの病院が存在している。
僕は知っている。君は強がっているけれど、本当は弱いことを。毎日の生活に疲れて、作り笑いをしながら心では泣いていることも。そんな君を見ているのがつらくなったから、僕はこちらの世界へ君を招いたんだ。
僕の名前はルークス。この世界に生まれて64年になる。現実世界では、年寄り扱いになるんだろうな、きっと。しかし、見た目は20歳くらいと若いから、この世界では年齢なんて関係ない。父親は112年生きていて、見た目が僕と変わらないのだから、想像出来ないだろう?母親も、いつまでも美しい姿のままだ。子どもはどうやって生まれてくるのかって?僕の住む世界では、
この世界に生まれた人は皆、
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