第8話
「助けてくれ!」
聞こえてきたのは突然吸血鬼が現れた恐怖による絶叫ではなく、救援を要請する言葉だった。
その言葉を聞いた瞬間、俺は翼さえ仕舞えば人外に見えないらしいことを理解しつつ、救援を要請してきた奴らを一旦助けるために動き出そうとしたのだが、そこで思った。
……今更なんだが、こいつらの前で血液操作なんてしても大丈夫なのか? これ、吸血鬼専用のスキルだったりしないか? こんなの使ったら、一瞬でバレるんじゃないのか?
ま、不味い。
血液操作をしないと、俺は絶対にこいつらに勝てないだろうし、本当にまずい。
……俺が人外に見えないことは確認できたし、もういっその事全員殺すか?
街の場所とかは聞けないけど、どうせまだ街になんて近づく気は無かったし、殺せば殺すだけ強くなるんだ。
それもそれでありな気がしてきたな。
……取り敢えず、血液操作で殺してから、助けたヤツらの反応を見て決めるか。
(血液操作)
心の中でそう決めた俺は、地面に散らばっている血を使って、男たちの心臓部分を血で突き刺した。
そもそもが強くないからか、シンプルにもう傷だらけだったからか、完全に意表を突いた不意打ちだったからか、男たちは為す術なく、そのまま絶命していった。
それと同時に、俺の体が更に強くなった気がした。
「大丈夫ですか?」
にこやかな表情を浮かべて、俺はそう聞いた。
……どうだ? 今のところ突然のことにびっくりしている様子はあるけど、俺に脅えている様子は無い。
「あっ、あ、あぁ、ありがとう、助かったぜ。お前、凄いんだな。俺たちは田舎もんだから分かんねぇんだが、名の知れたやつだったりするのか? ……もしそうだったら、悪いんだが俺たちは綺麗な言葉遣いなんて出来ねぇんだよ。そもそも、助けてもらったのにこんな態度で気を悪くしていたのなら、すまん。許してくれ」
……少なくとも、俺が吸血鬼なことはバレてないっぽいな。
……ただ、田舎者らしいし、シンプルに知識として吸血鬼のことを詳しく知らないだけの可能性はあるから、やっぱりなるべく殺すと決めたやつ以外の前で血液操作は使わない方がいいっぽいな。
少なくとも、このスキルが普通の人間でも別に使えるかものなのか、そうじゃないのかが分かるまではさ。
「全然大丈夫ですよ」
「そうか。そりゃ良かったぜ。……それなら、助けてくれた礼がしたいんだが、俺たちの村に来ないか?」
村か。
街ならともかく、村なら、確かに、行ってみてもいいかもしれないな。
「そうですね。では、是非行かせてもらおうと思うのですが……後ろの方たちは大丈夫なのですか?」
「あぁ、こいつらなら平気だ。来てくれるって言うのなら、早く行こうぜ!」
さっきまでは少しだけ距離があったし、分からなかったんだが、俺と喋っているこの男以外、さっきの男たちに傷つけられた以外の古い傷があるな。
まぁ、どうでもいいか。別に俺と喋っているこの男がクソ野郎なんだとしても、クソ野郎じゃないんだとしても、どうでもいいわ。
俺にとって今大事なのは、人間がいっぱいいるところに安全に行くことだ。
村の住人をどうするかは村に付いてから決めよう。
俺が勝てなさそうな奴がいたら、直ぐに逃げるか、そのままこいつの礼ってのが終わるまで平和に過ごせばいいだけのはずだ。
そもそもの話、こいつがクソ野郎の場合、吸血鬼だとバレてなくたって俺がこいつに狙われている可能性はあるけど、こいつからだって血は出てるし、大丈夫だろ。
少し楽観的な気がしなくもないが、ビビってばかりじゃ何も始まらないからな。
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