第3話 練習風景 1

 9:00 ミーティング、音出し

 9:30 基礎合奏

    ・ろうそく練習

    ・音階のロングトーン

    ・ハーモニー練習

    ・タンギング練習

    ・コラール

10:00 やまがたふぁんたじぃ合奏

    ・Gから 合同譜読み

11:00 約束の大地合奏

    ・最後の部分 合同譜読み

11:30 通し練習

11:45 合奏終了、片付け

12:00 ミーティング、あいさつ


 1日の練習予定はだいたいこんな感じだ。コンクールがあるからといって、曲の練習ばかりではなく、基礎合奏もいれるようにしている。個人的には、基礎合奏は大好きで、何時間でもやっていたい。しかし、基礎合奏と曲の合奏を繋げて考えるのは難しい。中学生ならばなおさらだ。

 上には「ろうそく練習」と書いたが、これは非常に有効な練習だ。アンブッシュア、ピッチ、音形など、曲の中で意識しなければいけないことはたくさんある。そういうことを意識するあまり、肝心の音がよくなくなってしまうのだ。そこで、ろうそく練習。これは、とにかく細かいことは気にしない。楽器に息を思いっきり入れるという練習だ。遠くにろうそくの火をイメージし、それを吹き消すように思いっきり息をはく。すると、不思議なことにめちゃくちゃ良い音がなるのだ。

 また、個人練習というのも、中学生には難しいことだと思っている。以前、ある吹奏楽指導者が、「個人練習というのは、勉強で言うと教科書を渡してどうぞ理解してください。というようなもの。」と話していた。確かにそうだと思う。だから私は、個人練習の時間はあまりとらないようにしている。

 そこで開発したのが、合同譜読みだ。これは、八分音符1拍で曲の合奏をする。難しい言い方をしたが、要はめちゃくちゃゆっくりみんなで練習をするということだ。ときに、先輩後輩でペアを組み、一人が演奏をして、もう一人は楽器は吹かず、正確に吹けているかを聞いてあげる。上手にできているところは褒めてあげることも大切だ。私一人で、全員をみることができたらいいのだが、それは難しい。だから、生徒同士で関わらせて合奏をしていく。

 また、これは基礎合奏的な側面もある。曲を半分の速さで練習していくわけなので、一見なにを吹いているのかわからないぐらいなのだ。しかし、音を長く吹いているからハーモニーがよくわかる。曲の決め所では、必ず素晴らしいハーモニーが響く。そういったところも同時に作っていく。ここで、基礎合奏のハーモニー練習が生きるのだ。

 とにかくこうして先生が頑張るでもなく、生徒が頑張るでもなく、みんなで頑張っていこう。みんなで音楽を作っていこう。そんな空気を作ることが大切だ。

 目指すは、7月はじめの市の吹奏楽交流会。ここで、各校がコンクール曲をホールで演奏する。そこまでになんとか課題曲の「やまがたふぁんたじぃ」、自由曲の「大いなる約束の大地〜チンギスハーン」をとおしで演奏できるようにするのだ。

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