真実は小説より奇なり~吹奏楽部奮闘編~
蔵場 矢々
プロローグ
あの夏のステージを、私は忘れない。
あの日の練習を、忘れない。
あの子の笑顔も、忘れない。
あの子の涙も、忘れない。
みんなで作った、あの一瞬の音も。
忘れられない──いや、忘れてはならない記憶が、年を追うごとに増えていく。
もう何年も経ったのに、思い出すだけで胸が熱くなる。嬉しさも、悔しさも、誇らしさも、すべて昨日のことのように蘇る。
それは、とびきりの幸せだ。その幸せをくれたのは、間違いなく吹奏楽部の子どもたちだった。
働き方改革の波に押され、部活動は少しずつ姿を変えている。それでも、ここにはドラマがある。涙がある。奇跡がある。子どもも、顧問も、保護者も、その渦に巻き込まれる。
そして気づく──これは、教育のただの「おまけ」なんかじゃない。
これは、私が教員九年目に経験した物語。
たった三十五人で、大編成に挑んだ吹奏楽部の、熱くて眩しい夏の物語だ。
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