第17話
ローズはコンラッドの目的が自分だと言うことに少なからずちくりと胸が痛んだ。
ジークとこのままでは引き離されてしまう。それだけはわかる。けど、どうしたらいいのかわからない。
「……ローズ。ジークとは別れて。私と来なさい」
「コンラッドさん。そんなにジークと一緒にいるのはだめなんですか?」
「別に君が一緒にいたいならだめだとは言わないが。それでも男と二人旅は何かと危ないぞ」
ローズはそう言われてもピンとこない。何が危ないのだろうか。コンラッドはローズの鈍さに頭を抱えたくなっていた。
「……君は。とりあえず、この宿屋に泊まっていったらいい。ただし、ジーク。君は一人部屋で寝ること。いいな?」
「……て。ちょっと待て。ローズはどうするつもりだ」
「私の部屋に泊まってもらうつもりだが」
「そっちの方がローズにとっては危ないだろ!」
「……ジーク。君は何を言いたい」
ジークは本気でコンラッドに自覚はないのかと思った。というか、何でローズがこいつの部屋にとも言いたくなったが。
「わかりました。じゃあ、コンラッドさん。もう一部屋用意してもらえるように宿屋のご主人に頼んでみてください」
「な。もう一部屋だと。ローズ、君は何をする気だ?」
「何をって。ジークが一人部屋で泊まるんなら私もそうしたいと思ったんです。後、一人部屋でもジークの隣にお願いします」
ローズはにっこりと笑ってコンラッドの申し出を断ってみせた。これには彼も妙な敗北感を感じた。
「……ローズ。じゃあ、コンラッドさんの部屋を出ようか。俺の隣の部屋だったら何かあっても安心だし」
「うん。行こう、ジーク」
こうして二人は手に手を取ってコンラッドの部屋を出たのだった。
その後、ローズの要望通り宿屋の主人は彼女用の一人部屋を用意してくれた。が、料金はコンラッドが支払った。ジークがローズの知らないところで彼にせっついたのだが。もちろん、ローズはわかっていない。
「良かったな。ローズ用の部屋を用意してもらえて」
「うん。本当だね」
二人して喜び合う。ローズも自分では支払えないほどにはここが高級の宿屋だという認識はあったのだが。まさか、コンラッドが支払っているとまでは知らないでいた。ジークは苦笑いする。ローズが真相を知ったら自分を嫌いになるだろうなと思った。
「……どうかしたの。ジーク」
「いや。なんでもない」
ジークは目を逸らした。気まずいからだが。ローズはそうなのと言ってそれ以上は訊かない。とりあえず、それぞれの部屋へ入った。ローズはジークが転移魔法で異空間に入れていた荷物を出した。実はローズも転移魔法を学校で習っていたのだ。
なのでジーク程ではないが使うことができた。その中から入浴用の道具や着替えを出す。カバンのチャックを閉めてから道具類や着替えを手に持って部屋についた内風呂に向かう。
ドアを開けて脱衣場の籠の中に着替えを入れた。お風呂用の道具類は床に置き、髪を束ねていた紐を外す。はらりと髪が背中や腰に落ちる。ローズはその後、衣服を脱いで入浴を済ませたのだったーー。
ローズはその後、着替えをすませるとお風呂用の道具類や着替えた衣類などを持って部屋に戻った。道具類はそのまま、カバンに戻して衣服を布袋に入れる。こちらも同じく戻す。
ふうと息をつくと温風の魔法で髪を乾かした。徐々に髪は乾き、元の状態に戻る。既に夜着に着替えていたのでそのままベッドに入り魔石灯の明かりを消した。ローズは眠りについたのだった。ジークはどうしているだろうかと気にしながらーー。
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