完全無敵の美鈴ちゃん

犬時保志

第1話 冤罪リンチで死んだ筈の僕は

 僕は、予約して待ちに待ったVRゲームを受け取り、大急ぎ帰宅中電車の中だ。

 VRっぽいだけの今までのゲームと違い、フルダイブタイプの世界初本格的VRMMOゲーム『自由世界を堪能』はゲーマーが各自やりたい事を自由に選び遊べる画期的な物で、予約特別割引50万円支払いついに手に入れた究極のゲームだ。


 休日で昼過ぎなのに、こんな朝の通勤ラッシュ並の混み方は異常だ。

 VRの包みが潰れない様に、僕は胸に抱いて守って居た。


 僕の前に横向きで居た女が、ギロリと睨んだと思ったら突然僕の腕を掴んで高く上げた。

「この男痴漢です!!」

「え? ええぇ?」


 周りの男が一斉に僕を殴って来た。

「「「「「このキモデブめが、羨まし事しやがって!!」」」」」

 本当の痴漢も、一緒になって殴って居るのだろう。

 四方から殴られ、大切なゲームの包みを取り落とした。

 拾おうと屈んだ僕を、皆が踏んで来た。


 タイミングと運が悪く、集団心理の行動だろうが当事者の僕に取って運が悪いでは済まされない結果に成った。


⦅僕が…何を…したって……⦆

 薄れる意識の中、僕の抗議の声はか細い呟きになって消えた。


(僕の容姿が脂ぎったチビデブじゃ無かったなら、30歳過ぎた引きこもりオタクで無く社交的だったなら、こんな目に会わなかったものを、この容姿のせいで今までろくな人生じゃ無かった! 悔しいよ! 新発売のVRゲームやりたかったな……)


 もうどうでも良いが僕の死因は、ただの事故死で片付けられたそうだ。


『貴方は幸運を全く使わなかった、膨大な幸運を引き継いで次の人生は……』

⦅次の人生が何だって?⦆

 返事が無い、ただの空耳の様だ。


「ん? あれ? 死んで無い?」

 呟き声が、僕の声と違うぞ?


「あぁ、は階段を踏み外し、頭を打ったんだった…あれ? は美鈴じゃ無いぞ? オタクでチビデブの御手洗みたらし男互だんごだぞ」

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