俺はダンジョン動画投稿者 ~ダンジョン配信? やめておけ、○ぬぞ~
あいお明
「教科書で見たやつだ!」
人間は愚かだ。
それは無謀ともいう。
己が弱さを棚に上げ、またある者は、
「魔物がかわいそうだ!」
と絶叫する。
魔物に敗れ、散っていった同胞たちを、彼らが
そしてその慈悲深い一言が、魔物に打ち勝った者たちを苦しめ、死に追いやるとも知らずに。
世界よ。これが
◇
ここは「
病気の妹のため、今日も一稼ぎするとしよう。
録画開始。
……おや? 新人
散弾銃に日本刀、防弾チョッキ……ぜいたくは素敵だ。
いいなぁ~、お金があって。俺スーツに短刀だよ?
「もう1回、練習してこうぜ!」
「そうだな。 ……ゴホンッ、どーもー! “俺ちゃんズ”でーす !! 」
「「「ウエ~~イ !! 」」」
いやダメだ。6人いるからか、彼ら、油断しきっている。
もうここはダンジョンの中だ。何が起きてもおかしくない。そして、彼らの他に人影はなく、外や奥から響いてくる音もない。
つまり彼らに何かあっても、助けは来ない。
なのにまだ、訓練のつもりでいる。これでは“詰み”だ。
……いや、助けてやりたいのはやまやまだが、俺だけじゃ無理だ。もうゴブリンが湧いてしまった。
現れた3体のうち1体が、集団の一人を後ろから殴る。
ゴッ、という
「今日は俺らの初配信! ……ってことでね」
「ウエ~……イ?」
「おぉ、どうしたどう……した ?? 」
「ゲギャ……」
集団は、ゴブリンどもとお見合い状態になる。気まずい沈黙は、7秒ほどで破られた。
「あーっ、配信止められてる!」
「マジ !? 」
「マジマジ。何で……」
1人がゴブリンに目をやり、そして気づく。
「あぁ、教科書で見たやつだ!」
「それってアレか?」
「そうだった……アレだ !! 」
「「「“ゴブリンの乳首”問題…… !!! 」」」
それは、新人から芸歴15年のベテランまで、
“青少年への配慮”を理由に、現存するほとんどの動画投稿サイトが「不適切な投稿」を禁じている。
といっても、流血や性器など、わかりやすいものはまだいい。たびたび問題になるのが、“男の乳首”だ。
そして、ダンジョンで男の乳首といえば、ゴブリンのそれ、というわけだ。
これが投稿動画なら、前もってその部分を加工したり、削除したりしてしまえばいい。だが生配信ではそうはいかない。
突然、“規約違反による配信停止、もしくはアカウント凍結”措置を取られた配信者たちは動揺する。
魔物にそんな隙を見せたら、終わりだ。
「ゲギャ」
「「ゲギャギャ……」」
そして、ここのゴブリンは強い。1体に対して初心者3人がかりでやっと倒せる、といわれるくらいだ。
俺は息を潜めて、待つしかなかった。
やがてゴブリンどもが、何かを
いかなる魔物も、
6人組の末路は、ご想像にお任せする。
……クソッ、また編集の手間が増えた!
◇
その昔、「
「
彼の
配信者の、真の天敵はどちらか。裸という野性か、それとも人の理性か――
――――――――――――――――――――
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
少々ハードボイルド(?)ですが、おつきあいいただければ
【追記】
応援・フォロー等ありがとうございます!
(2025/07/07)
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