第270話 空腹
ここは神田ミカエル女学院…。
中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。
天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?
その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。
ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。
制服は翻さないように、静かに歩き…。
清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。
この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。
否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて…。
そのたった一人の生徒、今日転入する真島乃亜です…。
今日から神田ミカエル女学院に転入するので…。
その学校の職員室に最初むかって、私はそこで転入する生徒だと言った…。
私を出迎えてくれたのは、田中先生という先生だった…。
朝日に照らされた先生の柔らかいショートボブの髪の毛…。
ふわふわの髪の毛は、朝日の加減か、茶色に輝いていた…。
私は先生の髪の色が、ふわふわ焼きたてクロワッサンに見えてきた…。
お腹が空いた私は、先生の髪にかぶりつきたくなるのを必死にこらえた。
今は女悪魔のグレモリーの家で、お世話になっているのだけれど…。
グレモリーはなんと料理が全くできなかったのである…。
昨日の夕食は、カップ麺であまりお腹いっぱいにならなかった…。
グレモリーはお湯を入れて、数分でラーメンができると大はしゃぎしていたけれど…。
私のお腹は全然嬉しくなかった…。
ちなみに、朝はコーン◯レークだった…。
あぁぁぁん、翼さんの手料理が恋しいよぉぉぉー。
そんなこんなで、無情に時は過ぎていき…。
私は田中先生の横に立ち、教室の教壇の前に立っていた…。
黒板には、田中先生が私の名前をチョークで書いてくれていた…。
私の目前には、数十人の生徒が机に座ってこちらを見ているのだろう…。
私は緊張し過ぎて、前方を見れないでいた…。
「はいみなさん。今日から新しく仲間になる真島乃亜さんです。仲良くしてくださいね」
田中先生が、私のことを紹介してくれた…。
私の方は脚が緊張でガクガクして、震え出している…。
変な汗が出るし、多分顔面蒼白になっているかもしれない…。
そして、何より空腹がこたえていた…。
これでも育ち盛りの女子高生なんですけど〜!?
視線の端を見ると、田中先生が自己紹介してと目線で訴えてくる…。
うぅぅぅ、空腹と緊張で私はすごい体調が悪いのです…。
意を決して、私は第一声をあげた…。
「わだずの名前は…」
わあわあわあ、また緊張のあまりすごい訛ってしまった…!?
私は大混乱になり頭の中は真っ白になってしまって…。
意識も真っ白になってしまった…。
私は眩暈で教壇の前で倒れてしまったのである…。
あぁぁ、編入初日からついていない。
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