第48話 終点

OL風お姉さんの指で、私の2本のツノがこちょこちょされている…。


ダメ!電車の中で感極まってしまっては!!


流石にそれはヤバすぎる!

我慢よ!乃亜!


堕天使ノアの名に於いて命じる、我が禁断の扉よ!今すぐ閉じよ!!!


中二病風に、自分に命じても気持ちいいものはどうしようもない…。

もうダメだ。と思ったその時!?



「次は〜上野〜。終点上野です〜」


のんびりしてて、独特のイントネーションの電車アナウンスが流れた。

私とお姉さんは、ハッとしてお互いの顔を見合わせた。


「もう終点なのね。あなたの身体に夢中になってたから全然気づかなかったわ」


周りの乗客も、VRメガネ型ゴーグルを外し、降りる準備をしだした。


急に周りがざわめいていく…。

流石にお姉さんも、もうツノを触ってきたりはしない…。


何食わぬ顔で、足を組んでいる。

もうすぐ上野駅に着く。


最近上野駅が終点の線も少なくなってきたが、秋葉原に行きたいのでちょうどいい。


「最後まで出来なくて残念だけど…」

私の耳元でまた囁くお姉さん。


「次に会ったら最後までしようね…」


ドキッとしてしまう私。


たまたま偶然会ったお姉さんと私。

果たしてまた会うのだろうか?


会う確率は、極限にまで低い。

それでも、また会いそうな気がする。

そんな気がする私であった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る