44 戦争を止めたい!
バカ王子オウギュストは、国王になっても全く政治に興味を持とうとしなかった。
彼との初夜は、薬で眠らせておいてシーツに赤ワインを垂らして終わり。それで初夜を迎えたふりして二人とも起きた時に裸で既成事実を作っておいた。
好きの反対は嫌いではなく無関心。
私はあえてそのバカ王子を見逃し、彼が浮気をしようと側室を置こうと放っておく事にした。
元から愛も何も無い結婚、彼が好きに動いても妬みも何も湧かない。
おかげで私は安心して病院設営や道の舗装、レオ・レオニ村の発展に努める事が出来た。
そうして二年が過ぎた。
聖女教や悪徳貴族の逃亡した王都は平和なもので、人々は安心して生活できていた。
だが、ついにその日は来てしまった!
ゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴゴッッ! 大地震だッ!
前の人生よりも数か月早く地震が起きてしまったっ!
だが不幸中の幸いか、レオ・レオニ村や各地の街道は、私の結婚パレードに合わせ全て道を大きくしていたので誰一人として犠牲者を出さずに避難させる事が出来た。
また、軍学校出身の軍人達は迅速に動き、各地の救援に向かえた。
ドリンコート領という内陸に移転した工業ギルドでは交代制で効率的に朝から晩まで休むことなく稼働し、物資や食料の缶詰等が生産され、それを冒険者達と人材ギルドが各地に配送する事で物資不足による死者も出さずに済んだ。
そう、私の危惧してた震災による死者は誰一人として出なかった。
まあ多少の重軽症者はいたが、誰一人として命に別状は無かった。
震災が落ち着いた頃……事件は起きた!
「レルリルム様! 大変です。聖女教が宣戦布告をしました!」
「何ですって!!?」
「彼等が言うには、この国は聖女の力を持たないニセ聖女が王妃になった事に神はお怒りだ。先日の天災はニセ王妃を許さぬ神の鉄槌である。ゆえに我々聖女教は本当の聖女であるソフィア様を立て、隣国の協力の元ニセ聖女を追放するまで戦う! といっているらしいです」
まさかこんな展開になるとは思っていなかった。
隣国では英雄王は王位につけなかったのだろうか?
「ギュスターヴ騎士団長、隣国の総大将は誰ですか?」
「隣国の総大将は……ウッドロウ・ジャクソンです!」
誰よそれ!? 英雄王クローヴィスではないの?
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