春になりました。
第1話
今日から新学年!西沢小春こと私は、高校二年生になりました。
やっぱり四月は始まりの季節と言うだけあって、新しい生活がスタートする感じが溢れている。
でも私はそんなことより、クラス替えがないことに驚いた。
当然のごとくクラス替えがあると思い、由香以外に仲の良い友達がいないに等しい私は緊張しながら来たのに、そのまま持ち上がりでクラスは変わらないことが分かったのだ。
…私だけだったの?知らなかったのは。
周りを見ても、特にそれについて話している人は見かけない。
そして、校舎も変わった。一年生は校舎が別で、二、三年生は同じ校舎だから、秋人は たちと同じ校舎になったのだ。
「良かったわね、先輩とも近くなって。」
にやにやしながら由香に言われる。
出席番号の順だから、相変わらず席もそのままで、前後だから近いのだ。
「…うん。嬉しい。」
緩んだ頬のままそう言うと、もう!と言って、わしゃわしゃと頭を撫で回された。
もう慣れたもので、されるがままになっていると、
「お〜い、お前ら席につけ〜。」
担任の先生が入ってきた。
ここの学校は、先生は持ち上がりがないらしく、入ってきた先生も一年生の時の担任の先生とはまた違う人だ。
始業式を済ませて、今日は授業がないからこれで下校だ。連絡事項を済ませて、解散となった時、
「…小春。」
教室のドアの方から自分を呼ぶ声がした。
そちらを向くと、秋人がドアにもたれるようにして立っている。
「あ、ちょっと待って。」
急いで鞄を持ち、由香に手を振ると、秋人に駆け寄った。
「ごめんね、待たせて。帰ろう。」
そう私が言ったと同時に、手を絡め取られる。
「大丈夫。行こ。」
優しく言う秋人に、笑みを浮かべながら二人で帰り道を歩く。
「桜が綺麗だね。もう満開だ。」
ところどころに咲いて、薄い桃色が広がっている桜を見て、春を感じる。
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