ヨットロックのレビュー

小川初録

Super DB Downtown 2024年作

 はじめにレビューするのは最近と言う意味で昨年(2025年1月の時点)のこのアルバムを。

 ロンドン出身のバンドだが70〜80年代のアメリカのヒットソングリスペクトしまくりのサウンドはヨットロックだと言って良い。


 どちらかと印象は AOR っぽくない、それと言うのも3曲目の Side By Side がダイアナ・ロスのヒット曲 Up Side Down を髣髴とさせるからだし、そのポピュラーなソウルミュージックの要素が多分に感じられると言う理由がある。ところどころにニューウェーブ系のシンセサイザーの音でアレンジを施している曲もあり 80年代 のサウンドをいろいろ包摂させているところにニンマリとする。


 4曲目の And She Cries では、おや?Doobie Brothers かと思ったところヴォーカルもマイケルマクドナルドに聴こえてくる。それが5曲目の Moment In Time にも続く。

 6曲目ではプリンスのアルバム1999的ニューウェーブっぽい曲、これにシンセサイザーアレンジが入るポップなもの。


 もろソウル曲のヒットソングそのものの7曲目 Shake It 、これは Side By Side と同じくベースラインが中心に感じるもの。ホーンセッションとサックスの入るところも80年代っぽい。


 11曲目 Brazil では曲名どおりラテン系をリスペクトした曲で、ベースとギターのユニゾン演奏とギターソロが導入されておりその筋の演奏が好きな人は納得すると思う。12曲目の Maquina もラテン系曲でこちらは女性ヴォーカルのコーラスハーモニーが印象的だ。


 アルバム全体としてはルカサー張りのギターソロが全面に入っているわけではないが、声が同じヴォリュームでのコーラスハーモニーの程よいアレンジがあったりで、述べたとおりの AOR とする要素はあまりないし、ロンドンのバンドなのでウェストコーストの雰囲気もあまりないがヨットロックと言うとそれが一番ジャンル分けで納得する。



 他にもいくつかこのようなバンドがあるが、彼らは数十年昔の豊富な音源、レコードのサウンドをよく研究会得しており、それへの深い愛情も感じられるので昔のファンでもたのしめるだろう。

 これから先 生成 AI がさらに発達すると楽器のあまり得意でない人も、このような感じで楽曲を制作するようになるかも知れない。



 なお、このアルバムの前までに主要メンバーだった Matt Dibble 氏が急逝したために10曲目の Song For Matt とこのアルバムが彼に捧げられている。

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