政府のミスで政略結婚の相手が金髪の美少女になったんですけど、どうしてくれるんですか?
kこう@受験によりほぼ停止中
不思議な結婚生活の始まり
第1話 政略結婚します!!
政略結婚——それは自分の意思で結婚相手を選ぶのではなく、親などが相手を決めて結婚という契約を結ぶというもの。
かつての日本ではこれが主流だったが、自由意志の尊重を求める過程でこの、政略結婚というものは自然と姿を消していた。
あってもお金持ち同士がお互いの利益のため、などほんとにごく僅かでもう普通の人はもう存在すら知らない人もいるかもしれないぐらいには薄れていったのだ。
——だが、そんな時代から20年。
どういうわけか、日本社会では逆に政略結婚が主流になったのだ。
それこそ約10年前――もともと問題だった少子高齢化が本格的に進行し、これ以上行くと人口がそれこそ半分以下にまで減ってしまう、というところまで行ってしまった。
このままでは日本の存続が危ないと考えた政府だが、一般的な政策では劇的な変化は望めないと、本当に最終手段として「政略結婚」を義務化する条例を作ったのだ。
当然、当時死ぬほど批判を食らっていたが、政府は結局、国民の意思を無視して、ゴリ押しに近い形で発令した。
そしてその時の総理が全力で説得して、「20歳までに結婚できたら政略結婚は免除する」という条件を付け加えることでようやく国民を納得させたのだ。
ようは、「恋愛結婚したいなら早めに見つけてね。それが無理なら相性のいい人を見つけるからその人と結婚してね」というわけだ。
そして、私――
……一応、先に言っておくが、私は別に恋愛結婚に失敗したわけではない。
やはり人とかかわるのがそんなに得意じゃなかったのと、両親が政略結婚で成功していたので、私もそれでいいかなって思っただけだ。
「……え~と? ここを左に曲がるのかな?」
スマホの地図アプリを開きながら、私はメールに書かれていたレストランに向かう。
時々鏡を出して、前髪を整えながら、見た目がおかしくないか何度も確かめる。
そんな鏡に映るのは黒髪でポニーテールをした私の姿――何時間も前からメイクをして一番かわいい状態の姿だ。
情報だけしか聞いてない相手との初めての顔合わせ――これから結婚する相手に見せる第一印象はできるだけ、かわいくありたい。
――相手はどんな人だろうか、優しい人がいいな。
――せっかく結婚するならお母さんたちみたいな夫婦になりたいな。
――私にもうまくできるかな?
これからの生活に期待や不安を抱えながら、ようやく到着したレストランの受付を済ます。
店の雰囲気はザ・高級レストランといった感じで一面模様の入った青色のカーペットとシートのひかれた机、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。
あまり、こういうところは来ないのでなれない気持ちで少し気持ちが落ち着かない。
「……え~と、12番テーブルだから……あそこかな?」
そして見つけた席はレストラン窓際、真ん中ぐらいの場所。よく見ると誰かのすでに座っている人影も見える。
一応、まだ集合時間の10分前だったのだが、どうやらもう相手方も既に来ていたようだ。
念のためもう一度席を確認した後、これ以上あまり待たせてはいけないな、と思い少し急ぎ足でその机に向かった。
机に近づくにつれて緊張が増してゆく。
不安がより大きくなって鼓動が大きくなってゆく。
早く相手の顔が見たいはずなのにどうしてか目を下にそらしてしまう。
「――おいあんた、あぶねえぞ」
「……え?」
そう声をかけられ、顔を上げようとしたその瞬間――突然目の前に机があらわれた。
気づいたときにはもう遅い、急停止しようとする努力もむなしく、ゴンッという音とともに左半身に大きな衝撃が走った。
「……ッ!! いったぁぁ」
身構える時間もなかった体を机の出っ張りに思いっきりぶつけ、左腕に大ダメージを負った私はそのまま膝をついてしまう。
……第一印象が大事だといっていたのに最悪だ。
痛みにもだえながら、頭によぎるのはそんな思考――朝の準備を全部台無しにするようなドジを踏んでしまった自分へに対する怒りだ。
「……おい、大丈夫か?」
――そんな私を心配する声とともに視界の前に手がのばされた。
そうして顔を上げるとそこにいたのは金髪の少女――長い髪にきれいな金色の髪、整った顔立ちに少し小柄ながらもスタイルのいい、そんな少女が私の目の前にはいた。
「……綺麗」
「……は?」
「……あぁ!! いや何でもない!! うん、心配してくれてありがとうね!!」
「……お、おう。気をつけろよな」
思わずもれた心の言葉をごまかすように大きめの声を出しつつ、痛みを我慢して立ち上がる。……ここで一応まだ痛む手を無理して振って平気ということもアピールしておく。
「……さて、私はそろそろ別の席に……って、うん?」
これ以上考えすぎないように、とすぐさまその場を離れようとした時――机の上に置かれている番号を示すアクリル板が目に入った。
――そして、ありえない事実を目の当たりにした。
その看板に書かれている数字は「12」。――その席にはさっきの金髪の女の子がいて、私が目的地としていた席だった。
ピコーン、とスマホにメールが届いた音がし、慌ててそれを開く。
そして、そこに書かれているのは――「目の前の人が結婚相手です」という、政府からのお知らせメール。
顔を上げると、私と同じようにスマホのメールを見て驚いた顔でこちらを向く金髪の彼女。
そして目が合ったまま一瞬空気が止まり――
「「ええええええええええええええええ!?!?!?!」」
――二人の驚嘆による叫びはレストラン全体に響き渡った。
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