第5話

―――チュン。


 私は今日の仕事を始めた。

 仕事ではパソコンを使うものの、結局そのデータはカードやメモリに入れて郵送するというアナログな方法に変わった。


 流石に仕事中は一人がいいと思い、部屋の中を色々見せて一番気に入った様子の台所に、黒い鳥は置いておくことにした。とことこ色々なところを見ているものの、何かをつつこうという意思はなさそうに見えたため、私は安心して仕事を進めることができた。


 今日はかなり生産性が高い気がする。あの鳥のおかげだろうか。

 スピリチュアルな要因ではない。時折水分補給のために台所に行ったが、その時はけたたましく鳴くことはなく構って欲しそうにこちらを見ていた。女子会にも参加した友人が、猫のいる生活は有意義だよ、と言っていた意味が少しわかったような気がする。


 仕事が一段落し、自分の昼食と鳥の救急用具を買いに一度外に出ることにした。


(……よし。お店の人に聞いた話だと、これが正しいっぽいな)


 もしその間にいなくなったらその時だろうと思い、手すりに座らせてから商店街に向かって用を済ませたものの、案の定私の帰りを動かずに待っていたようだった。


―――チュン。


 午後の仕事に取り掛かる前に、ささっと鳥かごを組み立て、お店の人にもらった本を頼りに、見様見真似で応急処置を行った。


(……というか、その人の所まで連れて行けばよかったんじゃないの?)


 そんなことを考えた頃には、鳥の羽の応急処置は終わっていた。




―――チュン。


 キッチンの近くに鳥かごを置いて迎えた午後の仕事は、逆に全く手に着かなかった。午前の仕事とは異なり、喫緊の要件ではないことも要因の一つだろうが……。


『鳥 手当 羽 正しい方法』

『鳥獣保護法 捕まる』

『鳥 飛ぶ方法』


 このサジェストが諸悪の根源だろう。それも、ネットが使えないのだからこの行動はもはやメモ書き程度にしかならない。


「……無理かな」


 今日はもう諦めるしかないようだ。

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