呪われた屋敷で一夜を過ごした令嬢の運命とは……?
水月 りか
序章
ヴァルモア家の屋敷は、長い間忘れ去られていた。
広大な敷地にひっそりと立つその屋敷は、まるで過去の時代に取り残されたような存在だった。
かつては賑やかな家族の笑い声が響いていたというが、その面影は今や全く感じられない。
物語が始まるずっと前――
ヴァルモア家の領地は、雪が降り積もる季節になると、ひときわ静けさを増す。
その静寂の中で、ひとつの不吉な出来事が起こる。それは、家族の命運を左右する出来事だった。
誰も知らぬ間に、父親は姿を消し、母は命を落とした。
家族は崩壊し、屋敷は長らく荒れ果て、閉ざされたままとなった。
だが、それから数年後、雪の降る寒い晩、ひとりの令嬢がこの屋敷に足を踏み入れようとしている。
イリス・ヴァルモア――家族を失い、孤独な日々を送る彼女に届いた一通の招待状。
それは、彼女の心に潜む疑問や不安を呼び起こすものであり、彼女の人生に深い影響を与えることになる。
家族の失踪と母の死。
その背後に隠された秘密。
イリスは、この屋敷に一歩踏み入れることで、そのすべてに触れることになる。
だが、屋敷に待っているのは、彼女が想像していた以上の恐怖と謎であった。
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