第44話

これで少しは落ち着くか。


はぁと息を吐いた時、ふと、どこからか視線を感じてそちらへと目を向ける。



「……見つけた」



旧校舎の窓際に立つ人物が、たった今探している彼女だと分かり、無意識に口角が上がる。


そんな俺からはっと我に返ったように、視線を逸らして背中を向けて走り去っていく。


また移動したか。だけど、



「逃げらんねぇぞ、」



俺達からは。


震えた携帯を取り出せば案の定『颯』から。



『やっぱり逃げられちゃったよ』


「ふっ、だろうな。で?」



そんな事予想済みだろ。


颯が電話越しに楽しそうに笑っているのが想像出来る。

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