第6話
第6章 敵との遭遇
町が少しずつ再建され、人々が希望を持ち始めた矢先、遠くの地平線から不穏な気配が迫っていた。白猫とその仲間たちは、日々の努力を重ねながらも、常に警戒心を持っていた。夜が深くなると、町の周囲を見守る者たちの中で、異変を感じ取った者がいた。
「何かが近づいている…」カイが低い声で言った。
白猫はその声に反応し、目を見開く。感情が高まると、自然と体の色が微妙に変化する。彼女の毛はほんのり青白く光り始めた。
「何が…?」白猫が尋ねると、クロウが眉をひそめて答えた。
「闇の気配が感じられる。おそらく、あの場所に現れるのは…。」
その時、遠くからかすかな音が聞こえ始めた。風に乗って、何かが近づいてくる音だ。それは足音ではなく、地面を引きずるような音だった。
「準備をしろ。」レオがすぐに指示を出し、町の防御を強化し始めた。白猫はその指示に従い、町の住人たちに避難を呼びかける。
町の中心に集まると、突如として空気がひんやりと冷たくなり、闇に包まれた影が現れた。闇に覆われた猫たちが、無言で町に向かって歩いてきている。
「敵だ…!」カイが声を上げた。
その猫たちは、普通の猫ではなかった。体の一部が闇に支配され、目は赤く光っていた。闇の力に取り込まれた者たち…それが彼らの正体だった。
「彼らは…『影猫』と呼ばれる者たちだ。」クロウが冷静に言った。「闇の力に取り込まれて、元の姿を失ってしまった。おそらく、町を滅ぼすために送られてきたのだろう。」
白猫はその言葉を聞き、胸の中で不安が広がる。しかし、仲間たちの存在が彼女に勇気を与えていた。レオが先頭に立ち、手に持つ剣を構える。
「みんな、準備はいいか?」レオが問いかけると、仲間たちは力強く頷いた。
「私が守る。」白猫は決意を込めて言った。自分の力を試す時が来たことを感じ取っていた。
影猫たちが町の門に近づいてくると、白猫の体が自然と反応した。色が変わり、鮮やかな赤に染まる。その瞬間、彼女の心の中で力が高まり、周囲の空気が一変した。自分の感情が力に変わり、そしてその力が町を守るために発動しようとしている。
「力を解放しろ、白猫!」カイの声が響いた。
白猫はその声に応えるように、力を集中させた。目の前に現れた影猫たちに向かって、力を放つ。その瞬間、周囲の空気が震え、強いエネルギーが爆発的に広がった。
影猫たちは一瞬止まり、そしてその一部が吹き飛ばされた。しかし、完全に倒すには至らない。闇の力は強大で、簡単には倒れない。
「まだだ…!」白猫は力を込めて、再び攻撃を放とうとするが、その瞬間、背後から大きな音が響いた。振り返ると、さらに大きな影猫が現れていた。その姿は、他の影猫たちよりも遥かに大きく、強力だった。
「大きな敵が…。」レオがつぶやく。
「私が先に行く。」クロウが言った。魔法の力を集中させ、影猫の大きな体に向かって放つと、魔法のエネルギーがその体を包み込み、光が閃いた。しかし、影猫はそれを耐え抜き、再び攻撃を仕掛けてきた。
「このままではまずい。」白猫は再び自分の力を解放し、力を最大限に使う決意を固めた。
その時、レオが大きな声で叫んだ。「みんな、一緒に行動しろ!協力して、敵を倒すんだ!」
白猫は仲間たちの力を信じ、みんなで力を合わせることを決意した。
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