元近畿新聞所属記者へのインタビュー

小林です。以前にこちらでも紹介させていただいた通り、かつて不可解な記事が掲載された近畿新聞ですが、現在は会社そのものが倒産してしまっているため、そこからの情報収集は困難なものであるかと思われました。しかし、同業記者のお知り合いを多く持たれている村上さんからご連絡を頂き、なんとかつて近畿新聞社で働いておられたという一人の記者の方をご紹介いただくことができ、その流れのまま取材を行うことが実現いたしました。以下、その時の取材内容をそのまま転記したものになります。ご覧ください。


――――――――――


小林「突然申し訳ありません。私、かつて近畿新聞に掲載された記事の謎を追っております、作家の小林と申します」

畠田「村上から話は聞いてますよ。畠田です。よろしくお願いします」

小林「近畿新聞の詳しい話を知っておられる方はいらっしゃらないかと村上さんに相談したら、畠田さんのお名前をご紹介いただきました。突然の取材のご連絡になってしまいましたこと、ここにお詫び申し上げます」

畠田「ええ、いきなりだったんでびっくりでしたよ…。村上とももうしばらく会っていなかったのに、いきなり連絡がきたものですから…」

小林「畠田さんはかつて、近畿新聞で記者をされていたと伺っております。村上さんとはその時からのご関係なのですか?」

畠田「ええ、そうです。記者のつながりというのは意外にも広くてですね。会社の枠を超えて情報が広がっていたりすることは別に珍しい事でもないのです。村上とは業界の懇親会かなにかで出会ったんだっけかな…?でもまぁそこまで深く仲良くなることもなかったわけですけど」

小林「ぜひ、そういったお話をお聞かせいただきたいのです。畠田さんが近畿新聞社におられたころ、なにか怪しい事等はありませんでしたか?」

畠田「ああ、例の記事の事ですね。まぁそりゃあ怪しいですよね、あんな記事」

小林「やはりご存じでしたか。私の調査によれば、例の怪しげな記事を書いていたのはすべて高橋誠吾なる人物であったと思われるのですが、まずこれは当たっていますか?」

畠田「おっしゃる通り、高橋誠吾ですよ。倒産前にいなくなったけど、それまでは記者をしていましたからね」

小林「畠田さんは、この高橋氏とはお話をされたことがありますか?」

畠田「ない、と思う…。簡単な事務的な会話ならもしかしたらしてるかもしれないけど、関わった記憶はほとんどないかな…」

小林「そうですか…。では単刀直入にお聞きしたいのですが、私が今回の調査を行うきっかけとなったそもそもの記事、2019年4月12日発刊分に掲載された不気味な謝罪文は、一体何だったのでしょうか?高橋誠吾は誰の何を盗作し、誰に謝っているのでしょうか?かつて近畿新聞で記者をされておられた方として、なにかご存じの事はありませんか?」

畠田「あぁいやいや、そもそもその記事は確か”取材記事”だったはずです」

小林「取材記事…?」

畠田「ええ。要するに、高橋が個人的に書き上げたものではなくって、取材対象者の言葉を高橋が新聞記事上にまとめ上げたというわけです」

小林「そ、そうだったのですか…。それはつまり、この謝罪を行っている人物は高橋氏ではないと…?」

畠田「そうですそうです。高橋は取材しただけのはずです。いくら高橋が過去に気味の悪い記事を複数書いていたとはいっても、一応それらは全て真実であるという部の決定があって掲載に至ったもの。もちろんどこまで部が機能していたのかって話にはなりますけど、建前上はきちんと段階を踏んで掲載されているわけですね。ただ、記者からの個人的なメッセージを発信する場として記事を書くことはさすがにできません」

小林「うーん…。それではこの記事は誰が?誰の言葉なのですか?」

畠田「ええっと…。誰だったか…。確か、白……白石……」

小林「白石…?」

畠田「白石……典…典人…とか、そんな名前だった気がします…」

小林「白石、典人…?」

畠田「当時、高橋がよくつるんでいた男だったはず。社の人間に対して意味の分からないメールを二人の名前を入れて送りつけていたりしていたんで、名前だけは覚えてますよ」

小林「そのメール、アーカイブ等は…」

畠田「会社のオンラインストレージ上にありますよ。まあ会社がもうないので、手に入れることは不可能かと…」

小林「そうですか…。それらの高橋氏の言動は、謝罪文や不気味な記事等と何か関係があるのでしょうか…?」

畠田「私にはさっぱり…。ただ、高橋本人はあの記事は本当の事だって本気で言ってたみたいですよ。実際に記事になったのはごくわずかで、掲載されずに終わったものも含めたら相当な数の怪しげな記事を書いていたみたいですが…。編集部も扱いに困ってたんじゃないかなぁ…」

小林「ああいった記事を掲載することに関して、何か問題等はなかったのですか?」

畠田「そりゃあ、いろいろとあったのかもしれないですけど…。まぁ、誰かを傷つけているような記事でもないし、誰かに迷惑をかけるような記事でもないし、被害者と呼ぶべき人がいないから、特に大事にならなかったのかもしれないですね」

小林「村上さんも同じようなことを言っておられましたね…。畠田さん、それ以外に何かご存じのことはありませんか?」

畠田「うーん、私が知っているのはこれくらいですかねぇ…。どうでしょう、お役に立てましたでしょうか?あまり大した話はできませんでしたけど…」

小林「いえい、そんなことはありません!大変重要な情報を頂くことが叶い、言葉もありませんよ!」

畠田「そこまで言っていただけると、私としてもうれしいですね。こうして昔話ができたこと、私自身も楽しかったです」

小林「本日は貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございました」

畠田「いえいえ。調査がどのような結果に落ち着くことになるのか、私も楽しみに見させていただきますので」


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