正体不明の雑誌記事

前回に続き、村上さんからお送りいただいた記事を掲載させていただきます。


【近畿新聞未掲載コラム記事】(下書き:高橋誠吾)

合同中央社から出版されている雑誌、『月刊トライデント』上には、不審死事件に関する記事が自然発生することがある。

『月刊トライデント』は2015年より刊行を開始した雑誌であり、業界の中においては比較的フレッシュな部類に入ると言える。本誌の中で語られるのは主に10代の若者を対象としたアパレル、ファッション、インテリア等の内容が主であり、売上こそ大手雑誌には遠く及びはしないものの、根強いファンを着実につかみにかかっている、今非常に勢いのある雑誌である。そんな『月刊トライデント』の中には、不気味で不可解ともいえる記事が自然発生する事があることで知られている。

最初にこの現象が確認されたのは、刊行第9刊にあたる本誌が発売された時の事である。本誌はもともとファッションに関する記事が主であるため、殺人事件に関する記事や事故死に関する記事などは一切記載されておらず、読者もその事をよく理解していた。しかし発売された9刊の中には不審死記事がはっきりと掲載されており、この事は読者のみならず編集部を巻き込んでの大きな騒動となった。しかも、その記事に書かれた不審死事件はその時はまだ発覚していなかったものであり、掲載された記事をきっかけにして事件が明るみに出たものであった。当時は本誌編集部所属の記者が独断で不審死事件の情報を掴んだものではないのかと言われていたが、後の調査によってあの記事を書き上げた記者は社内には存在せず、そもそもどこからあのような記事が書き上げられることとなったのか、その理由は全く分からないままであった。編集部は発刊前に作成された仕上げ版ともいえる状態の9刊を公開したが、確かにそこには不審死事件に関する記事は書かれておらず、また出版を依頼された出版社も同じタイミングで印刷原本を公開したが、そこにも記事はかかれていなかった。それゆえ、雑誌が世に出回る過程で記事が自然に発生したとした思えない状態が完成されていたのである。

当該雑誌にはそれ以降も、何度か不審死事件に関する記事が自然発生している。編集部や出版社はその度に調査に当たっているものの、今だ答えと言えるものにはたどり着いていないというのが実情である。


(メモ:高橋誠吾)

雑誌中に確認された不審死事件の概要を以下に記す。


【1例目】

自動車の運転中に原因不明の心室細動を引き起こし、亡くなった30代男性。発見された遺体からは右手が見つからなかった。


【2例目】

島根県松江市の西大津海岸にて、13名の集団自殺が発生。13人全員が一列に並び、1一人ずつ海岸に向かって身を投げたものと思われている。一部の人間に関しては遺体が見つかっておらず、今もなお行方不明である。


【3例目】

愛知県豊田市の住宅街で発生した殺人事件。40代男性が50代女性を殺害したものであり、遺体の首には、頭部を切断して再びくっつけたような跡があった。記事がきっかけとなり遺体が発見され、事件が発覚、犯人はその後逮捕された。逮捕後に犯人は「身代わりで殺した」、「これで死人の顔を見なくて済む」などと供述した。

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