第24話 ねんがんの

 材料はそろった、メインはウナギっぽい魔物絶望鰻アンホープイールという、川にこいつが居たら、その周辺終わりと言われる魔境の魔物だ。

 原因は毒なんだが、どう見ても巨大鰻にしか見えない見た目なんで、ワンチャン食えないかと、現在スタンした状態で拘束して持ってきている。


「これまた大きい鰻ですねえ」

「これでうな重とかできれば、みんな嬉しいんだが」

「えーと、スキル的な反応を見るに、〆る所からやれば食用可能みたいですので、ちゃっちゃとやってみます」


 そういった瞬間、アリサがその場から消えた。

 スタン拘束されていた絶望鰻の下から石の台が現れ、そこから一本の杭が絶望鰻の目とえらの中間あたりを貫通し飛び出した。スタンのおかげで暴れていないが、その背中側にアリサが現れ、そのまま背開きで開かれた。


「開くところまではできましたが、ここから協力願います」


 そういわれてやったことは、浮遊魔法で内臓を浮かせる作業。綺麗に切り離し、即結界で包まれて、用意してた盥へと移動。そこから先は普通に骨を切り離し、頭外して各ひれ部分を切り払った後、水洗いからの浄化だった。

 何に使えるかわからないので、とりあえず切り離されたものは、全部時間停止バックに収納である。

 一応これで、身に毒は無くなったらしいのだが、ここから蒸してから焼くのか、すぐに焼くのかでもめた。

 結局何匹か用意して他の方法も含め色々試したが、結論でいえば、捌いてそのまま皮ごと蒸した後に焼きをしてから、一人前サイズに加工しないと、うまみが抜けてしまって微妙だという事だった。

 そうして調理されたもの自体は、とても美味しかったと語っておく。

 結論、巨人か、アリサと同じスキル持ちでもない限り、下準備できないと思われるため一般化できないと思いたい。

 相当な魔法技術があれば、魔法併用で解体できるだろうが、それと並行して解体する技術も持っていないと不可能という事でお蔵入りだろう。

 もちろん、捌き方などは、レポート作成しレシピ登録はしておいた。

 冒険者ギルドの、解体方法資料にも記載された。

 普通サイズの鰻が見つかれば、流用できるんじゃないかと、見つかることを祈っている。

 解体した時に余った頭と鰭、内蔵、一度だけ皮を外して調理した際の皮も、利用できないかと冒険者ギルドに持って行ったところ、全部買い取り、おまけに皮は最高ランク判定で買い取られた。

 その時に、解体方法を聞かれ、商業ギルドに解体方法をレシピ登録したと言ったら、ハリンさんはギルドほったらかして聞きにいってた。

 生きたまま捕獲して、解体しないといけないと判り、しょんぼりして戻ってきてはいたが、冒険者ギルドで解体の時の作業手順書として、利用可能な契約を結んだとか。

 うちの領の冒険者ギルド、未だに所属冒険者なし、職員一人のままだったりする。

 ダオじいも居付いている、こっちはまあ何やら企んでいるようだけど、街の中央広場に噴水建てるって話があるんだが、そこの敷地はそのままにしとけと言われて放置中だ。

 何かやるなら、俺が長期休みでずっとここにいる時にしてくれと頼んであるので、今年の中期休み辺りに起こすだろう。それに関連するのか、魔道具研究所が何やら慌ただしい。実験中で危険ですので、しばらくは近寄らないようと言われてしまった。絶対にこれ何かしでかすに違いない。


「なあ、ダオじいが何やらしてるみたいんだんだけど、しらないか」

「私にもわかりかねますわ。山頂へはちょくちょく行っていらっしゃるようですし、先ほども山頂に、今日の残りの鰻入れたバッグもって向かったようですが、日本酒迄持って」

「絶対何かやらかすじゃないかそれ」


 というやり取りが、鰻祭りの日の夜にあった。大量過ぎた鰻だが、美味しかったものは、一部はアリサがお土産に持ち帰り、俺達とノウミンさん一家と屋敷の勤め人たちで満足するまで食べ、後の残りは鞄にしまっておいたが、それをダオじいが山頂に持って行ったと思われる。


 アリサが持ち帰った鰻だが、レックナート侯爵が、正体を聞いた上で、娘が頑張って作ったものだからと食べて、あまりのうまさに気絶したらしい。

 食べられそうで、食べられないとされている魔物情報の書かれた本を、侯爵が見せてくれたらしく、後日それを共有して、近場で確保できそうなものから試すことが決まった。


 とはいえ、自分たちで確保してたら、他の時間が無くなってしまうので、冒険者ギルドに依頼できないかと相談しに行ったところ、先日の鰻祭りの余りもの納品で、このクラスの素材が大量に確保できるなら、まだ専属地区のない上位冒険者パーティーを指名依頼で派遣するから、交渉してそこの専属にしろと、本部から通達と、現地で職員雇用の許可が降りたそうだ。


「やっと、部下が出来ます、独りぼっち終了です」


 と、ハリンさんがとてもうれしそうだったが、職員に成りたい住民が、果たしているのかどうかは不明である。


 長期休み直前の領地冒険者ギルドに、素材依頼に行ったら、専属冒険者と職員が出来たって喜んでいたが、増えた職員サンダだった。会うなり思わず。


「あれ冒険者の妹手伝うって冒険者復帰したって聞いたが、特にうわさも聞かなかったが、どうした、しくじって妹たちに逃げられたか」

「ありゃ、坊ちゃんご無沙汰です。今は伯爵様だったか。そこの机で突っ伏してる、ここの専属冒険者になったのが、その妹ですよ」

「へー、じゃあ強いのか。そうそう、この依頼頼みたいんだが。俺が休みでこっちにいる間の朝に欲しいって条件で、数量は問わない」

「んぇぇ、流石に捕獲依頼はこれきついっすよ複数は」

「単体ならいけると」

「そう思いますが、そいつらもそこまでやわじゃないんで」

「なんか、疲労困憊で突っ伏してるのに?」

「ああ、卒業試験がてら、山の中腹まで行かせたんでさ」

「ふむ、ひどい卒業試験だな。だが、実力はあると」

「俺や、ここの入口組には劣りますがね」

「そりゃ、例外だろ」

「まったくで」


 そんなことを言ってたら、ハリンが出てきた。


「あれ、伯爵様また何か持ってきてくれたのですか」

「お、ハリン今日は依頼だぞー」

「ギャーまた無茶振りじゃないですよね。せっかくこのギルドに専属来たばかりなので、あまり無理なことは」

「でもほら、サンダが見て、一体ならいけるって言ってたぞ」

「えぇ~?本当ですか、ちょっと見せてください。無理!無理無理!幾らこの報酬でも無理!死んじゃいますって」


 妹らしきのが復活したのか、こちらに歩いてくる。


「伯爵様?初めまして、この度このギルド専属となりました、特ランク冒険者パーティ、ミストラルのリーダーでミアリーです。以後宜しくお願いします。ところで依頼は」

「ミアリーちゃんこれだけど無理よね」

「ええと、捕獲…むりぃ、討伐ならまだしも捕獲はむりぃ、おにぃむりぃ」

「あぁ~じゃあ当日見つけて場所を報告だけでもいいぞ、捕獲はするから」

「「ふぇ?」」


 化け物を見るような顔で見る二人。え、だってサンダもできるだろと、目を向けたら首を縦に振ってた。おかしいな?出来ないのかな。まああいいか。


「ところでこれ、捕獲してどうするんですか」

「いやこれ、食べられそうで食べられない魔物リストにあったから、食えたりしないかと研究を」

「もしかして先日の絶望鰻素材ってそれですか」

「ああそうそうその余り、あれすげー美味かったぞ、皮とれなくなるけど」

「え、あの商業ギルド登録の解体と調理のレシピ実行できるんですか」

「じゃなきゃ登録できないだろ」

「それは確かに、そうなんですけど」

「あれ、ハリン食いたいのか?俺がひとっ走りとってこようか」

「いえいえ、サンダさん無理ですよ、生きたまま捕まえてきて解体ですよ」

「ん?ギルドの解体マニュアル一寸見せてみ。…これなら入口組総出でやれば、解体含めてたぶんできるぞ」

「お、マジかうちの料理屋持ってけば、一応調理できる設備自体は作ったんで、相談したらどうだ」

「マジっすか流石伯爵、料理の為に飯屋作ってるとか、発想が斜め上過ぎる」

「え、あのお店伯爵のだったんですか、値段もそこそこまで高すぎないのに、美味しいものが一杯あって、たまにおまけも有ってお気に入りなんですが」

「あーそっか、領民割引証持って無いのか。あとで届けさせるわ」

「「「領民割引?」」」

「そうそう、入口組とかすげー食うだろ、だから領民なら、俺のかかわってる店だと、来店時に提示することで、割引が効くようにしてるんだよ」

「「「しらないんですけど」」」

「ハリンには領民登録資料と、税関連の資料と一緒に渡したはずだが」

「!?」


 すごい勢いでマスター室に行くと、アッあっあああああと悲鳴が聞こえた。


「封書の中に隠れるようにに張り付いてましたあ」

「まあ、ドンマイ」

「あれ、でもこれ、全部何時もおまけしてくれる店です」

「ああ、きっとみんな忘れたんだろうと思って、料金じゃなくて品物でサービスしてたんだな」

「損はしてなかったですけど、すごく恥ずかしいです」


 絶望鰻のかば焼きが、料理店の名物料理となるのは、もう少ししてからの話だった。

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