第2話 幸せは突然消える
夢から覚めて、顔中、体中が濡れていたのでゆめちゃんは思わず怖くなりママとパパの近くに行こうとベットから起き上がりました。
カーテンの隙間から差し込む光は少し明るい、そんな時間でした。
自分の部屋から出てドアを閉め、ママとパパの部屋に行こうと廊下に出た時、何か変な違和感をおぼえました。
でもそんなことより、1人でいる今の現状が、ゆめちゃんは怖くなっていたため、その違和感は一旦おいて、ママとパパが寝てる部屋に向かって急ぎました。
ガチャ。
ドアをゆめちゃんは開けました。
すると、なぜか家具も人も何もかもなくなっていたのです。
「え?」
ゆめちゃんはひどく驚きました。
そんなはずはない。
何もないはずがない。
確かに昨日まではちゃんとあったはず。
暗いからちゃんと見えていないだけなのかも。
そんなふうに考え、電気をつけて、もっとしっかり確かめるために勇気を振り絞って部屋の中に足を一歩踏み入れました。
でもそんなことをしても結果はあからさまです。
嘘だろうと。
こんなこと起きるわけないと。
さらに奥まで見ようと部屋中ぐるりと見て回りました。
でもいくら見ても、いくら歩いても結果は変わりません。
何も誰もいないのです。
「どうゆうこと?ママ?パパ?」
震える声を振り絞って声を出すゆめちゃん。
「あ、部屋を間違えたのかもしれない!きっとそうだ!この部屋は元々何もなかったんだ!そうだ!きっとそうだ!あっちに行ってみよう!」
ゆめちゃんは今起きていることはまだ夢の続きなのかもしれない。
それか、今日はこっちの部屋で寝てみようっていう遊びをママとパパがゆめちゃんを楽しませるためにしているのかもしれない。
と、ゆめちゃんは色々な考えを巡らせてみました。
その考えを事実にするために、次は、向こうの部屋に行ってみることにします。
ガチャ。
ドアを開けると、先ほどと同様、そこには物も人もいないのです。
「じゃーこっちだ!」
と走り出すゆめちゃん。
階段を降りて1階に行きますがもぬけの殻。
本当に何もかもなくなっていたのです。
「ママー!パパー!」
ゆめちゃんは泣き叫びました。
「ママー!パパー!」
ジリジリ。
ゆめちゃんが両親のことを一心不乱に叫んでいると、何か向こうの方から音が聞こえてきました。
ジリジリ。ジリジリ。
ゆめちゃんはその音が怖かったのですが、もしかしたらママとパパがいるのかもしれない!
ママとパパが音のする方にいることを私に、ゆめちゃんに伝えるために鳴らしている音なのかもしれない!
そう思い、勇気を出してジリジリと音が鳴る方へ行ってみることにしました。
ですが、少し近づいただけでわかりました。
火だと。
今、家が火によって燃やされているのだと。
ジリジリという音の正体は火だったのです。
「うわぁーん。」
ゆめちゃんは泣き叫びました。
どこからか消防車の音も聞こえてきます。
誰かが通報してくれたのでしょうか。
でもそんなことを考えている余裕はありませんでした。
「なんで?なんで家は空っぽな上に、なんで家は燃えてるの?なんで私は1人なの?ママとパパはどこ?なんでなんで。。。」
たくさんの突然の悪い出来事に、ゆめちゃんは地面にへたっと座り込み、何の力も湧き上がってこなくなってしまいました。
なんで突然こんなことになってしまったんだろう。
ベットに入るまではいつもと何も変わらない明るくて幸せな生活を送っていたのに。
どうして、どうして、どうしてなの?!
ゆめちゃんは突然の出来事に頭がついていかず、ただ呆然と広がる炎を見続けていることしかできませんでした。
そんな時、とっても優しい声が上から聞こえてきたのです。
「ねーむれねーむれ私の可愛いおチビちゃん ねーむれねーむれ明日も素敵な日を送ろう」
これは、ゆめちゃんが小さい頃、ゆめちゃんを寝かしつけるためにママが毎日聴かせてくれた子守唄です。
ゆめちゃんは2階に向かって走り出しました。
ただひたすらに2階へ走りました。
その間もずっと、この優しくて包み込まれるような子守唄は永遠と流れていました。
声のする方はゆめちゃんの部屋のような気がし、ゆめちゃんは震える手を押さえてそっとドアノブに手を置き、ガチャ。
と、ドアを開けました。
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