第参話
黒い繭。
元々黒い水であったはずのそれは、今は硬くまるで黒曜石のような見た目をしていた。
既に繭が出来て大分時間が経っており、夜の暗闇を月が怪しく照らしていた。
「ここか?異常な霊力反応があった場所は」
「ええ、この村ですね。それにしても、どんな残虐な鬼が出たのでしょうか?」
村に2人の青年が訪れ、会話を始めた。
「鬼……いいや、違うな」
「え?」
「確かに、何人かはそこで死んでいる鬼に殺されたのだろう」
「ああ、確かに鬼の死体がありますね」
村の片隅に倒れる肉塊となった鬼を見下ろし、会話を続ける。
「しかし、この大半は別の存在に殺されている」
「別の存在?この少し鬼力の混じった不気味な霊力を持った存在でしょうか?」
「ああ、十中八九そうだろうな」
霊力とは人間が扱う魂の力、対して、鬼力とは鬼が使う魂の力である。
「霊力と鬼力が混じっているとなると、やはり半鬼でしょうか?」
半鬼とは、鬼と人の混血。
それ故に霊力と鬼力の2つを使うことが出来る存在だ。
しかし……
「いいや、違うな。半鬼ならば霊力と鬼力を使う分けることが出来る。それ故に混ざることはない。これは『生成り』だ」
「……とすると、すぐ近くにまだ繭がある可能性がありますね」
「そうだな、探して破壊するぞ。『生成り』で鬼と化した存在は、余りにも危険だ」
そう言い、2人の青年は繭を探し始めた。
『生成り』とは、人間が鬼と化してしまう現象。
『生成り』が始まってから繭に包まれるまでの間のみ霊力と鬼力が混ざった特殊な『混力』と呼ばれる力が現れるのだ。
そして『生成り』で鬼と化した存在は、通常の鬼よりも何倍も危険視されている。
そもそも、『生成り』が発生する条件が余りにも強い負の感情を抱くことなのだ。
それ故に凶暴性も高く、さらに知恵もあるため強くなりやすい。
そして、青年たちは、すぐに繭を探し当てた。
「これは……」
「ああ、もしこれが生まれ落ちれば、災厄となりかねない。破壊するぞ」
2人が霊力を高め、術を発動しようとした次の瞬間……。
ピキ……。
繭から音が鳴った。
繭に突如ヒビが入り、そして一気にそのヒビが広がり、そして……
割れた。
「あー、よく寝た」
繭から出現したのは、1人の少年。
白髪の
しかし、その目は美しさとはかけ離れた見た目をしていた。
ただひたすらに広がる闇。
そして、その闇の中に大量の極小の眼球があった。
余りにも悍ましいそれは、おそらく普通の人間であれば見ただけで正気を失ってしまうだろう。
「土よかの者を縛り給え『
「水よかの者を貫き給え『
少年の周りの土が縄のような形状となって少年を縛り上げる。
そして、生み出された大量の水の矢が少年の体を貫いた。
かに見えた……。
「『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます