僕とコトリと10の約束

ろく

プロローグ

 ほぼ無彩色で構成される僕の部屋の中で、夜の間だけ、ひときわ目立つ淡い桃色の布。窓際のメタルラック中段に鎮座するそれはまったくもって僕の趣味からは遠い色で悪目立ちすることこの上ない。

 その四角いシルエットを作る桃色の中に眠っている緑色の小鳥の名は【コトリ】。

 全くセンスが感じられない。何で小鳥に【コトリ】と名付けるのか。


 ラック下段を占拠している【お世話セット】の箱には【コトリ】用の餌、掃除道具に寒い季節に使うらしい小動物用ヒーター等が入っている。

 それから細い字がつらつら書いてある紙も一枚。


 【コトリとの10の約束】


 確かに、誰と一緒に暮らすとしても約束事はついてくるものだ。

 「とても大切な約束だから」と言われているから、無くさないように箱にしまったままにしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る