『十(10)の証言(トウノショウゲン)』 ~それぞれの告白が、真実を葬る~

ソコニ

第1話 「管理人の証言」


私は清水マンションの管理人として15年間働いてきた山田です。この事件の真相を、私は全て見ていたのかもしれません。


あの日、302号室の佐藤さんが亡くなって発見されたのは、朝の7時でした。異様な匂いに気付いて警察に通報したのは私です。佐藤さんは、私が20年来知る人物でした。この清水マンションが建つ前から、この土地で育った方だったんです。


【フラッシュバック】

「山田さん、僕このマンションに住むことになったんです」と彼が笑顔で言ったのは8年前。当時は妻の美咲さんと二人、幸せそうな新婚夫婦でした。でも、最近の彼は変わってしまった。借金取りらしき人が頻繁に訪れるようになり、夜中の口論も増えていました。


あの事件の2日前、彼は私に不思議な言葉を残しました。「山田さん、人って変われるかな?10回やり直せたら、きっと違う人生があったはずなんです」


その日の来訪者は3人。午後3時の美咲さん、夕方の渡辺さん、夜の木村さん。そして私は、各来訪者の様子を全て見ていました。美咲さんは泣きながら出て行き、渡辺さんは怒鳴り声をあげ、木村さんは...妙に冷静でした。

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