『#白い羽の約束』 ~消えた希少種と、母が遺した最後のメッセージ~
ソコニ
第1話 写真家の視点 『レンズが捉えた真実』
私のインスタグラムには100万人のフォロワーがいる。廃墟写真家として活動を始めて5年、ようやく一つの区切りを迎えようとしていた。
その日、私は最後の撮影場所として、廃墟となった鳥類園を訪れていた。「これを撮ったら写真集の締め切りに間に合うはず」。デジタル一眼レフを構えながら、私は心の中で呟いた。
ファインダー越しの世界で、一枚の白い羽が舞い落ちるのが見えた。シャッターを切る指が震えた。この瞬間を撮りたい。でも、なぜだろう。胸の奥が切なくなる。
「佐藤美咲さんですよね?」
突然声をかけられ、振り向くと、端正な顔立ちの中年男性が立っていた。
「村上と申します。実は、私、あなたのフォロワーなんです」
彼は昔この施設で働いていたという。そして私の作品『廃墟に咲く命』の大ファンだと語った。写真を通じて人の心を動かせることを実感し、心が温かくなった。
「この施設には、切ない物語があるんです」
村上さんは静かな声で語り始めた。それは、10年前に起きた出来事。希少な白い猛禽類の失踪事件と、それに関わる人々の物語―。
帰宅後、パソコンで写真を確認して息を飲んだ。白い羽の根元に、かすかな赤い染みが写り込んでいた。そして画面の隅、ぼやけた人影が。
私は思わず、同じ写真集の作者仲間であり、警察の科学捜査班で働く彼氏の山田に連絡した。
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