小さな私を助けたい。

猫が大好き

第1話 始まり





私の両親は、いわゆる職場結婚でした。父はギャンブル好きの酒乱で、母は気の強い真面目なタイプ。まるで水と油のようでした。


そんな二人の間に、私は生まれるわけですが、生まれる前からすでに波乱万丈の予兆があったようです。


母が私を妊娠中、父は毎晩のように飲み歩き、ベロベロに酔って帰宅しては、眠っている母を蹴り起こすこともしょっちゅうでした。飲酒運転で車をボロボロにしたり、窓ガラスを割ることもあったそうです。


さらに、生活費にまで手を出してギャンブルにのめり込み、母と喧嘩を繰り返していたといいます。壮絶な日々だったと、母は後で話してくれました。


そんな中、私は生まれました。しかし、父のひどい行いは止まることを知りません。新生児の私を抱えた母に向かって缶を投げつけ、運悪く私の頭に当たってしまったのです。これがきっかけで、両親はすぐに離婚しました。


母はシングルマザーとなり、幼い私を育てるために毎日懸命に働きました。


そんな母にも、いつしか新しい恋人ができました。


しかし、彼は嘘つきで、仕事に行くふりをしては浮気を繰り返すような男でした。

挙句の果てには、母が私のためにコツコツと貯めていた貯金にまで手を出して使い込み、私の目の前で母と激しい喧嘩をすることもありました。


母の髪を引っ張る彼、床に散らばる母の長い髪の毛、泣きじゃくる母にティッシュを渡す幼い私…。そして最終的には恐喝の容疑で警察に捕まるような、どうしようもない男だったのです。


しかし、当時の私は彼のことが大好きでした。

彼は私によくしてくれ、一緒に遊んでくれ、本当の父親のように感じていたのです。


そのため、母が彼と別れることを決めても、私は「お願いだから、〇〇くんと別れないで」と泣きついて母を引き留め、なかなか別れられなかったそうです。


そんなある日の早朝、私達の家に令状を持った警察が「〇〇さんはいますか」とやって来ました。

丁度その日は彼が家におらず、私達は状況が分からぬまま、家宅捜索を受けました。眠い目をこすりながら、数人の警察官が家の中を物色する様子は、幼い私にとって異様な光景で、今でも忘れられません。


こうして、母と彼とは結局別れることになりました。


この時点でとても壮絶でしたが、このような出来事を忘れてしまうほど、私にとってショッキングな出来事が起こりました。




2話へ続きます。











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