20.明霞ちゃんが気になる
うああああああっ!!!!!
「ちょっとー? ジタバタうるさいわよ〜?」
「んぁ? あ、ご、ごめーんお母ーさーん!」
思い出していたからベッドの上でジタバタしてたのがどうやらうるさかったみたい。失敬失敬。
「あー。でも、ほんとになんなのー!? あの顔なに!?」
気になりすぎて寝れない。どうし……あっ。
私は思い立ってスマホを手に取って
『あのお久しぶりです!
少し相談があって
今大丈夫ですか?』
ふたつ目のメッセージをあげた時に既読がついた。
『おっひさ〜しおちゃん!
なになに〜?
もしかして〜恋愛だったり〜?』
「…………んにゃっ!?」
えっ、な、なんでわかったの!?
私は動揺しながら返す。
『え、えっと
その
は、はい』
『えっマ?
テキトーに言ったら
当たったんだけど』
適当に言ったの!? それで当てれるのすごくない!?
『その……
相談、したいんですけど……
い、言いにくいので
通話……良いですか?』
『いーよー
(グッジョブのスタンプ)』
イヤホンを装着して通話をかける。数コールしたら出てくれた。
「も、もしもし」
『はーい。そんでそんで?』
「その……一緒にコミケ行ったじゃないですか」
『うんうん』
「それでその時に会った男装レイヤーに一目惚れした……じゃないですか」
自分で言ってて恥ずかしくなった。
「実はそのレイヤーさんって私のクラスメイトで」
『え、えええええええ!?』
受話口からとんでもない声が聞こえてイヤホンの片耳を取る。
『えっ? えっ!? 同クラマ!? え、あのプー○ーが!?』
「は、はい……」
『えっ、じ、じゃあ……しおちゃんは女の子に』
「好きに……なっちゃったんです」
『あららららぁ』
変なイントネーションの返しが聞こえてきた。
『アオハル、してんねぇ……』
「そ、そんなしみじみ言わないでぇ!?」
『いやーだってさ。お姉さんはそーんなアオハルしたことなくってさー』
たははと笑いながら『お姉さんねー、恋したことあるけど、破れちゃってさ〜』なんて続けた。
「その……ゆうちゃんは、……嫌に、なったんですか?」
『んーや? ただめんどいなーって。だってしおちゃんみたいにスタイルいいわけじゃないしなーって。こーんなちんちくりんなんてそれこそ特殊性癖の人くらいでしょ〜』
ほんとにそう……なのかなぁ?
「私、ゆうちゃんみたいに話しやすくて親しみやすい人好きですよ?」
『いやー嬉しいですな〜』
でへでへと笑ってる姿が目に浮かぶ。つい私も釣られて笑っちゃった。
『そんでそんでー? そのレイヤーちゃんが好きになっちゃったってことだけど、どーしたいのー?』
「どう……って」
私はどうしたいんだろう?
私は明霞ちゃんとどうなりたいんだろう?
私は────。
「わ、たし……明霞ちゃんと、恋人になりたい。ちゃんと好きって……伝えたい!」
気付けば私は涙を流してた。あー、前から好きだって自覚してたけど……こんなに好きになってたんだ……。
『なーんだ。ちゃーんと分かってんじゃんね』
ゆうちゃんは笑って続けた。
『ま、当たって砕けなよ』
「く、砕けたらだめじゃないですか!?」
『ぷっははははは!!!!! ナイスツッコミ!』
ゆうちゃんの空気感に毒気が抜かれて釣られて一緒に笑い合って通話もほどほどにおやすみと言い合って通話を終えたあと、明霞ちゃんからメッセージが来た。
私はくっと喉が鳴る。チャット欄を見ながら私は決意する。失敗しちゃっても良い。だけど。
────ちゃんと告白しよう。明霞ちゃんに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます