10.コス準備!(3)
そんなふうに駄弁ったあと早速、
ローテーブルの上に鏡を置いて、私はその前に座らされた。
「まずはこのネットを被りなさい」
「うーんと、こんなかんじ?」
「そうね。あんたの髪はボブで短いからすぐにおさまって良いわね」
明霞ちゃんに渡されたウィッグネットを顔の下から頭の上へと被る。鏡を見ながら、最低限髪をネットの中へ入れていく。
「次ね。あんたは垂れ目だけど、ア○ナの目は吊り目に近いから目尻側にこのリフトアップテープをこうして貼って」
「こう……だね?」
ウィッグネットにつけるようにリフトアップテープをつけていく。すると顔つきが間違えるようになった。垂れ目がちな目つきがア○ナみたいに見えた。まだメイク終わってないけど。
「それじゃあ次ね」
隣で鏡を見ながら真摯にレクチャーしてくれる明霞ちゃん。鏡越しに見ても、真隣で至近距離にある整いすぎてる小顔の横顔を見ても、その真剣な顔つきはとても私の心を浮き立たせる。
────あ〜もう、顔綺麗すぎ〜! かわいい! ふつくしい! 好きっ!!
「……ちょっと。聞いてるの?」
「へっ?」
どうやらぽーっと見てたみたいで、明霞ちゃんからしたら聞いているのか分からなかったみたいで訝しむような顔を向けてきた。
「あっ、えっと……その、う、うんっ。き、聞いてたよ!」
なんというか今の感覚を言っていいのか分からなくて曖昧な態度を取る。明霞ちゃんは一度首を傾げてから「そう」と相槌を打ってレクチャーを続けた。その声や様子を見ながら、なんで今の感覚を言葉にしなかったんだろうと考えた。
このふわついた気持ちは、なんなんだろう?
そんな答えが出ないことを考えながらメイクをしていく。メイクが終わって、今度は衣装。普段の私なら別に気兼ねなく脱いでいたけど、どうしてだろう? 少しだけ恥ずかしかった。
「着替えなさい
「あっ、う、うん!」
「……?」
明霞ちゃんは訝しんだまま脱ぎ途中だったシャツを脱いだ。脱いだ拍子にそれはもう見事な胸が揺れた。私は今まで考えてたことが吹き飛ぶくらいの衝撃だった。
「────わーお」
「ちょ、そんなに見ないでくれないかしら?」
視線に気付いた明霞ちゃんはサッと両腕で胸を隠した。
「え、あっ、ごめんっ! その……おっきいなぁって」
「あ、あんたねぇ……!」
明霞ちゃんはわなわなと震えて片腕で胸を隠してからビッと指を向けてきた。
「い、いいからあんたは後ろを向きなさい!」
ちぇー。スタイル良いから見てたかったのになー。
「は・や・く! 後ろ向いて着替えなさい!」
私は唇を窄めながら「はーい」と言って後ろを向く。後ろで大きなため息を吐いたのが聞こえた。
私も服を脱いで、はたと気付く。
「あ、ねー明霞ちゃん」
「何よ」
「下着ってどうしたらいーかな?」
私はつい後ろを向く。そうしたら明霞ちゃんは前屈みになってブラを着けていた。それを見た瞬間、うわなっがでっかと声に出してしまって、しまったと口をおさえながら背を向け直す。
頭の中ではさっきの光景が焼きついてしまった。綺麗な色のした突起。ぷっくりとしててとても……
ってそうじゃないそうじゃない! なんてこと考えてるのさ私! もうっ! ばかっ!
「えっと……そうね。ア○ナは結構上が見えるから、シリコンバスト着たあとはストラップレスブラをつければ良いわ」
「分かった〜! ありがとっ!」
私はお礼を言って、ブラを脱いで、シリコンバストを装着する。
「……うぉっ、……おっも」
よろめきそうになってなんとか耐える。
あ、あっぶな〜。え、これを明霞ちゃんずっと持ってるの? すごっ。
「っとと……えと、ストラップレスをこう……して、と。よしっ! ねぇどうどう? ちゃんとつけれてる?」
「えぇ。問題ないわ。メイド服を着ましょう。あ、着たときはなるべくシリコンバストの部分見えないよう気をつけなさいね」
「はーい。あ、ごめーん明霞ちゃん。後ろ締めて〜?」
ロ○ル○のあのクラシカルメイド服を着た明霞ちゃんは「分かったわ」って声を返しながらこっちに来るのを見て、後ろを向く。
明霞ちゃんが優しい手つきで服をおさえながらチャックを上げてくれた。
「ありがと〜!」
「別に良いわ。あ、けど」
「ほよ……?」
私はウィッグをつけたあとに、首を傾げながら明霞ちゃんを見ると明霞ちゃんは微笑みながら言ってきた。
「当日は頑張って自分でメイクするのよ」
「…………………………え?」
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