第七話 曲者だなッ!?

 ユウ、リラの二人と俺は今第二体育館へと向かっていた。



「記念すべき第一回の授業が実技なんて、分かってるじゃない!」

と、強気なのはリラ。


「ええ……。実技って戦うんでしょ?無理だよぉ……。」

ユウはこんなだ。


「……終わった……。」

一応言っとくとこれが俺。



 前に校長と話した時に言っていた事なんだが、この学校は基本、戦闘向きスキル所有者しか合格させていないらしい。何かいろいろと闇がありそうではあるな……。


 そんな学校を疑うようなことを考えていると、ルイス先生がクラスを整列させた。高校にもなって整列させるんだな。


『この学校は、というか校長がそういうキチッとした人たちを好んでいるようで。』

俺とは真反対だな。


 その後俺たちは並んだまま第二体育館へと向かった。


(なあ、でも入学式の自由席はキチッとした人たちの真反対じゃねえか?)


『教頭が少し緩い人を好んでいるようで。』


この学校、いろいろとメンドそうだな。



「お前ら良く聞け〜。とりあえず今から私とタイマンはってもらうぞ〜。そこで一人一人の実力を見極めて、今後の実技の授業内容を考えるかんな〜。」

先生とタイマン!?



 俺が困惑してるうちに、説明は終わった。


(女神、俺が弱くてこの二人に見放されるのだけは嫌なんだけどなんとかしてくれない?)


『できますけど……。日頃の態度が気に入らねえんだよなあ……。』


性格悪すぎるだろ。


(わかった!見直すから!マジで頼む!)


『……分かりました。』


 女神が言うには、俺の体の支配権を一時的に女神に渡すことができるそうだ。そうして、俺の見た目で女神が戦うことになる。一応本人曰く、結構強いそうだ。信じられないけれども。



「んじゃあ一限目始めるぞー。」



 生徒が先生の前に並んで一人ずつ戦うようだ。いくら先生とはいえどもこんなクラス丸々を相手にしたら疲れちゃうんじゃないか?



「あ、一応言っておくが、スキルの使用は義務だぞー。」


「「「「はーい。」」」」



 え、義務?あ、でも女神に入れ替わってもらうのって”神者”のスキルの力なんじゃないか?


『珍しく当たってる……。』


そうか、なら心配はいらないな。あとは女神に頑張ってもらうだけか……。


 そうこうしているうちについに俺の番が回ってきた。



「よろしくお願いしますっ!!」



 迫力のある挨拶だ。ここで威圧感に負けたらお終いだ。



「では、両者、構えてください。」



どうやら他の生徒が審判を務めるようだ。



「始めッ!」



 俺は計画通り、女神に交代する。



「天への柱、天使の祝福、」



ざわざわ……。


 突然、意味の分からない言葉を唱え始めたティアに、クラスメイトは困惑していた。しかし、ルイス――先生だけが何も言わずにそこに構え続けていた。



「悪魔の招待、雲の凪……。」



 ルイスはこのスキルを知っていた。かつてルイスがこの学園に通っていた頃、同じ言葉を唱えた人がいた。



「天の女神よ……」



その者の名は――。



「降臨せよ!!」



 突如一体に明るい光が差し込むその光の指す先は……ティア=ラーファスという高校一年生の子供だった。



「ティア=ラーファス……。中々の曲者だなッ!?」



 ルイスの声が響き渡った。

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