【完結】身バレせずに公益通報する百の方法
達見ゆう
第1話 堤田はイラついた
メロスは激怒した。
……ではなかった。堤田はイライラしていた。
堤田は某役所にて働いているボサーっとした変人公務員である。
しかし、その正体は頭の中はいろんなネタや構想が渦巻き、時には文字に起こしてネットに晒すワナビ……いや、ちょっとかっこよく言い換えて創作する人だったのだ。
そしてイライラの原因は上司であった。仕事量は多く、毎日のように残業するほどなのに、彼はスマホでソシャゲをしている。それもかなりの頻度である。
役所内の部下はもちろん、新人や非常勤職員まで「何のゲームなんだろう?」と噂するほどゲームをしている。
そして、書類を持って近づいても慌てて止める素振りは無い。
これで仕事が早いなら目をつぶっただろう。だが、ソシャゲ時間を仕事に振ればかなり仕事量は減るのは明らかであった。時々いるね、窓際職員なんかは。しかし、彼はちゃんと飾りではない役職がある。
上司の上司にチクるか、いや、仲良しなら揉み消される。ならば通報部署に「勤務態度に問題のある職員がいる」と内部通報するしかない。
しかし、いくら通報者保護があっても犯人探しやら報復やら、挙句の果てにはこの世では無いところに行っても何かの罪状を作りあげられて理由を有耶無耶にされてしまう。最終的にはおしゃべりな広報によってあの選挙は……いや、これ以上はいけない。一応、あの人は当選したのだから。
恐らく上司は無課金勢で素材集めのバトルをしてるのではなかろうか。課金勢だったらあんなに頻度は高くないと思う。
堤田も過去にとあるソシャゲをプレイしたことがあるが、無課金勢のために頻繁に素材集めのバトルをしなくてはならないし、イベントはしょっちゅう起きるからストーリーは進まない。下手すると「来月、〇〇章を開放します」というお知らせが来ることからしてストーリーを引き延ばしてるのは明らかなので挫折した。何よりも素材集めバトルで飽きてくる。
閑話休題。「通報機関に内部通報する」と決めた堤田はいかに通報者がバレないようにするか考え始めた。もちろん、仕事しながらである。そして、その間も上司は腕の動きからしてソシャゲ中だ。
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