第27話 DANCE
<神罪滅獄>
空中のユーリ・エストラントは空間に巨大な祭壇魔術を展開すると、最後の言霊を宣言した。
この森に、大陸に、世界に。そしてこの次元に。
存在する全ての力があらゆる空間を省き彼の全身に直接流れ込んでいく。
彼の体は集まった力で真っ白に光り輝きその輪郭すら捉えることはできない。
見る者の眼を焼くほどに膨大な熱量と光量を発する恒星が。太陽が。
鼻先ほどの眼前に出現したかのようだ。
人の眼ではとても直視できない存在。
捉えようとすればその瞳はおろか脳細胞のひとかけらすら残さず焼き切ってしまう。
この世界の智慧ある生命は恐れひれ伏して悟るのだ。
神がここに顕現なされた
その存在を目でとらえるなどあまりに恐ろしく、神罰が下り魂まで滅するだろう。
そして魂は罪を裁かれ永遠の煉獄へとつながれるのだ。
まさにこれは裁きの神の御業
そこに存在できるのは神格のみ
シュンッ
シュンッ
こま切れ肉となって飛び散った暗黒竜も。
肉体を分子レベルまで分解された灼熱魔人も。
地面に飛び散った血の一滴、霊体としてすら消滅した魂の痕跡や輪廻すら。
その存在すべてが『この場所には無い』ものとなり、本来あるべき場所へと戻る。
この世界が誕生し終焉を迎えるまで続く『この世界の理』に反した存在へと神が下した鉄槌。
しかし暗黒竜にとっても灼熱魔人にとっても、非情であるはずの裁きは情け深いものなのだ。
彼らを構成する全ての物質的、霊的、そして定めや理や縁や輪廻。
そのすべてが彼らが本来いるべき場所へ、元もとに存在した次元へと強制送還された。
存在の輪郭すらなくそうとも、生まれついた次元の神の元へと辿りつけるのだから。
メイン・ターゲットであった光の巨人。
強烈な光が放たれたその瞬間に、見事にバラバラの細かな砂塵とかしたのであった。
岩は岩に。
土は土に。
砂は砂に。
崩れてがれきとなった土砂がこんもりと山になってしまい、巨人の形をした盛り土は意思の光を失っている。
全てはこの世界にあるべき姿へと戻ったのだ。
ただの一点を除いて。
フインフインフイン
まるで未確認飛行物体が飛翔するような音を立てたそのとき。
人の大きさほどの輝く球体が宙へと飛び出してきた。
くるくると回転する球は光が角度で反射して、アチラコチラとキラキラ輝き反射する。
よくみればそれは綺麗な球体ではなく、まるで丸い土台に小さな鏡を張り付けたような見た目。
「FUNKっ!」
いつのまにか地面から上半身を引っこ抜いたおっさんヤマダ。
地面との衝突で起こった爆発で貴族の綺麗なオグシが爆発し体は焦げて真っ黒。
上半身は土に埋まって燃え尽きなかったのだろう、しかし衝撃でボロボロに破れた衣服はビロビロになっており衣装を上品に装飾している。
意味もなくジャンプするとポージング。
腕をあげてビシッと点を指さす。
腰に手をあて、広げた足は右側にやや重心をあずけて。
なぜだかいつのまにか大きくて鋭角のサングラスまでかけたその姿は、まるでダンスの化身。
ダンス・マンならぬダンス・おっさんが爆誕した瞬間なのである!
「ポウッ!」
まるでアフロの上に見えないハットをかぶり、それが飛んでしまわないよう手で押さえるよう片手を頭に置いて。
スッスッスッ
足を交互に滑らせ、まるで前に進んでいる姿なのにスルスルと後ろへ下がっていく。
スッスッスッ
呆然とするユーリ・エストラント、そして口がないのだから声を発するなんてできない空中のミラー・ボールまでが『・・・』絶句。しゃべれないのに句が絶えたのだからおかしなものだ。
おっさんはそのまま森の茂みの中へ。
誰も見えなくなったその瞬間には鎧を脱ぎ捨て股間をおさえて。
「アポウッ!!!」
高音のシャウトが響き渡る。
ゴロゴロ転がりまわり痛みに悶えるその姿。
同じようにムーン・ウォークでおっさんの影にぴったり張り付いたエミイにRECされているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます