非モテ陰キャの俺が罰ゲームで陰キャぼっちオタクに告白したら実は超人気アイドルだった彼に溺愛されてます!?
真霜ナオ
01:告白
「ねえ、アイツに告白してきてよ」
「えっ……!?」
「できるでしょ? 購買のパン買ってくるの遅れた罰ゲーム」
「いや、でも……」
「なに、やんないの? うわあシラけるわ~」
高校三年生の冬。俺、
指名されたのは、同じクラスの
今日まで散々『罰ゲーム』をさせられてきたけど、他人を巻き込むようなものは初めてだった。
「だって、告白って……斎藤くんは男……」
「シラけんなあ。陰キャが陰キャにフラれるトコが見てえんだよ。それとも別の罰ゲームにすっか?」
「……わかり、ました」
嘘の告白なんかしたくない。だけど断ればさらに罰ゲームが過激化することも、これまでの経験で承知している。
拒否すれば次はどんなことをさせられるかわからない。
俺は覚悟を決めると、教室の中央辺りにある斎藤くんの席へと足を向けた。注目を集める座席の配置だけでもすでに罰ゲームだ。
「……あ、あの……斎藤くん」
「…………」
「さ、斎藤くん……!」
「……? なに」
机に突っ伏して昼寝をしていたらしい彼は、ようやく俺の声に気がついて顔を上げてくれる。
といっても、黒くて長い前髪に隠れてその表情を見ることはできない。
「えっと……その、俺……斎藤くんのことが……好きです」
「…………」
申し訳ないとは思いつつ、早くこんな
後ろでわざとらしく
今すぐ走って逃げ出したい。そんな風に思っている俺の心情など知らず、彼は口を開こうとしてくれない。
突然の告白に面食らっているのだろうか? 同性からのものとはいえ、彼だってきっと告白なんてされ慣れていないはずだ。
(無理もないけど……お願い、一言でいいから早く断ってくれ……!)
震えてしまいそうな膝を
「ああ……じゃあ、よろしく」
「……へ?」
よろしくとは、どういう意味なのだろうか?
てっきり『無理』『俺は好きじゃない』くらいの答えが返ってくるものとばかり思っていたのだが。
「当麻くん、俺のこと好きなんでしょ? だから、よろしく」
「え、それって……付き合う……って、こと?」
「うん?」
まさかOKの返事が飛び出すとは想定していなかった。それは俺だけではなく、クラスメイトたちも同じだったのだろう。
けれど陰キャ同性同士の交際という図は、彼らにとって逆に良いネタとなったらしい。
途端に周りに集まってきたクラスメイトたちが、カップル成立を祝福してくれた。
(ああ……どうやって本当のことを伝えよう)
彼は告白が罰ゲームだったなんて思っていない。俺の中には、彼に対する特別な感情なんてひとつもないのに。
その事実をどう伝えるべきかと悩んでいるうちに、気づけば放課後。斎藤くんの姿はどこにも無くなっていた。
(どうしよう、俺……斎藤くんの連絡先も知らない……)
また明日、改めて斎藤くんに話をしなければならない。俺は肩を落としながら、その日は仕方なく家に帰ることにした。
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