第3章 試練とフウタの導き

真琴は、鍵を握り締め、迷宮の奥へと進んでいった。通路は狭くなり、薄暗い光がゆらゆらと揺れ、影が踊るように周囲を取り囲んだ。

「真琴さん、ここから先は気をつけてください。迷宮は、あなたの心にある恐れや迷いを映し出すと言われています」フウタは鋭く輝く目で言った。

しばらく進むと、彼の目の前に巨大な扉が現れた。表面には色々なシンボルが刻まれ、それらがキラキラと輝いていた。真琴が鍵を近づけると、扉が轟音とともに開かれ、彼は吸い込まれるように中へと足を踏み入れた。

扉の向こうには、広大な空間が広がっていた。そこには、いくつもの巨大な鏡が置かれていた。それぞれが異なる光景を映し出していた。幼い頃の真琴、暗く沈んだ表情の真琴、孤独な日々を過ごした姿。

「これが、俺の過去…?」

「これらの鏡は、あなたの心を映し出しています。過去の出来事や、あなたの感情、そして、まだ向き合えていない思いが、全てここにあるのです」

真琴は、一つの鏡を見つめるたびに、心の奥底に眠る記憶が次々と蘇り、自分の中に抑え込んでいた感情が、波のように押し寄せてくるのを感じた。

その時、真琴は、奥にある鏡に目を向けた。その鏡は、何も映っていないように見えた。しかし、近づくと、鏡面が黒い霧に覆われ、その中から低い声が響き渡った。

「お前は、本当に過去と向き合う覚悟があるのか?それとも、また背を向けるのか?」

声と共に、鏡から真琴自身の姿が浮かび上がってきた。冷たく、険しい表情をした、まるで、彼の心に潜む恐怖や不安が、具現化したかのようだ。

真琴は後ずさりしたが、フウタが彼の腕を掴み、支えた。

「真琴さん、自分を見つめるのを恐れないでください。ここで向き合わなければ、先には進めません」

フウタの言葉に勇気づけられ、真琴は鏡の中の自分と、再び向き合った。

「なぜ、彼女を置いて行った?なぜ、自分を責め続けている?」

真琴は、胸の奥が締め付けられるような痛みを感じた。彼はかつて、大切な人を失ったのだ。彼女が望んでいたにも関わらず、自分は、手を差し伸べることができなかった。

「俺は…逃げたんだ。彼女を助けることができなかった自分からも、彼女を失った悲しみからも…ずっと」

真琴の言葉に、鏡の中の彼は、少しだけその険しい表情を和らげた。

「ならば、その後悔を解き放つ覚悟があるのか?それができるなら、次の道が開かれるだろう」

その言葉が響いたと同時に、鏡の中の彼の姿は霧散し、鏡面には、再び真琴の顔が映し出された。彼の表情は、これまでとは違い、どこか穏やかで、そして、決意がにじんでいた。

「ありがとう、フウタ。おかげで、少しずつ前に進めている気がする」

二人は、鏡の間を抜け、再び迷宮の奥へと歩みを進めた。

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