私的捜索願を出した私を助けに行こう
ミデン
序章 私的捜索願
桜井真琴(さくらい まこと)は、都心のオフィスで消耗していた。
昔はもっと、輝いていたはずなのに。深夜、疲れ切った顔でオフィスを出ると、自分の影が幽霊のように伸びている。
「あれ?俺、どこで落とし物したっけ?…あ、自分か」
学生時代の写真を見返す。太陽のような笑顔。今の自分は、まるで別人だ。
数日後、会議中にも上の空。「あれ、今何の話聞いてたっけ?」上司の冷たい視線が痛い。それよりも、自分の心が迷子なのが辛かった。
ある夜、真琴は衝動的に白い紙を取り出した。
「私的捜索願」
まるで迷子のお知らせのように。
私的捜索願
捜索対象: 桜井真琴(本来の私)
特徴: 明るく、笑顔を絶やさず、前向きだった姿。過去の成功体験と挫折で自信喪失、自己を見失いがち。
最終目撃場所: 大学時代のキャンパス
捜索依頼理由: 本来の自分に戻りたいが、どこで道に迷ったか不明。
捜索範囲: 心の奥底まで、可能な限り。
真琴は「私的捜索願」を書き連ね、夜の街を彷徨い始めた。街灯の光がゆらゆらと揺れる。「一体、俺は何を探してるんだ?」
その時、古びた街角の書店の前で足が止まった。閉まっているはずなのに、何かに呼ばれるような感覚。ガラス越しに、古い本棚がずらりと並んでいるのが見える。懐かしい、心がソワソワするような感じ。ここから、「自分探しの旅」が始まるような、そんな予感がした。
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