第4話



よく寝た気がする。

ホームルームが終わって、どれくらい経ったんだろう。



吹奏楽部が練習しているのか、楽器の音で目を覚ませば教室には誰ひとりいなかった。

スマホで確認した時刻は、17:46。



「……やらかした」



今日は親友の麻耶まやとカフェに行く予定だったけれど、寝てしまったせいで予定を崩してしまった。1時間ほど前に入ったメッセージからは、『起こしても起きないから先に帰る。今度カフェ行くときは唯月ゆづきの奢りね笑 また明日!』とある。



とりあえず起きたことと謝罪のメッセージを送って教室を出るけれど、外は土砂降りだし偏頭痛持ちのせいで足取りは重い。

ああ、帰りが憂鬱だ。





1.2.3...


学校までバスで通っている私。最近読んでいた本は読み終えてしまったから、今日はバスで立っている人の人数を数えていた。暇だ。

そういえばお母さん、洗濯物中干ししてくれてるかなあ。うちの母はそそっかしいから、少し心配になる。



そんな時だった。



「──なぁ、やっぱりこいつじゃね?」



ゾクッ



身体中を纒わり付くようなその声が聞こえた瞬間、とてつもなく嫌な予感がした。



嫌だ。怖い怖い怖い怖い無理無理無理無理



声の主を探そうにも、周りを見れば見るほどバス乗客の全員が怪しく見えてしまってキリがない。だけど、直感で私に向けられたものだと思った。


とりあえず、次の停留所でバスを降りよう。

幸い家からそんなに離れていないし、近くに馴染みの商店街もあるから、歩けない距離ではない。



「次は、○○。お降りになる方は──」



運転手のアナウンスに震える手でボタンを連打し、バスを降りたと同時にたまたま持ってきていたパーカーを被り、傘を差すことなく全速力で走った。



雨は、より一層勢いを増していく。






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