第6話 寝取られたNo.1VTuberの末路

 翌日に変化が起きた。


 No.1だったリリノアのランキングが落ちていたのだ。


 なぜ急に……?


 久しぶりにチャンネルを覗き、アーカイブにある動画を閲覧。すると、そこに“答え”があった。



 なんとコメントが大炎上していた。



・彼氏いたのかよ!!

・リリノアおわったーーー

・よりによって歌い手か

・スパチャ返して!

・彼氏と同棲ってマジかよ

・毎日ヤってるらしい

・あーーークソ。ほんまクソ

・写真が流出してるしな~

・ああああああああああああゴミ



 さらに調べてみると、その彼氏とは俺ではなくて……俺からリリノアを寝取った男らしい。アイツ、歌い手だったのかよ。

 そうか、リリノアは彼氏バレして終わったか。


 しかも、相手は有名人。

 ベッドの写真が流出して大炎上という経緯のようだ。


 まとめサイトなどでも大きく取り上げられ、終わったようだな。



 そして現在は、日菜の怪鳥風月コスモがNo.1に上昇。

 なんて喜ばしいことだ!



 さっそく俺は窓を開けて日菜の部屋へ。ノックをして反応を待った。少しして窓が開いた。



「おはよー、ケイくん」

「日菜、No.1おめでとう」


「へ……。なんのこと~?」


「実は――」



 日菜はまだ寝起きで状況が分かっていないようだった。俺はリリノアが大炎上していることを説明。

 すると、日菜は飛び跳ねて驚いた。



「ええッ!? ……って、ホントだ」



 スマホを覗き、状況を確認する日菜。

 まさかの事態に震えていた。


 リリノアが勝手に凋落ちょうらくし、更にコスモがNo.1に逆転するという事態。たった数日でこうも変化するとは、俺も日菜もただただ驚くばかりだった。



「こんなことになるなんてね」

「リリノアちゃん、大丈夫かな」


「まあ、転生するだろ」



 転生。

 企業との契約が切られ、クビになった場合は大抵が転生する。有名絵師などに依頼し、VTuberの“ガワ”を新たに作る。

 そして個人で配信するという手段だな。

 企業のバックアップがないのでいろいろ大変のようだが、一度VTuberで稼ぎまくっていると普通の仕事はできんわな。



「そうだよね」

「ああ、心配は無用さ」



 こういうことはリリノアに限らず過去に何度もあったこと。

 というか、リリノアの所属している企業が“恋愛禁止”で厳しいところらしいから、そりゃ大炎上するわな。


 逆に、日菜の所属する企業は自由度が高いようで、恋愛の縛りもないようだな。



「怖い世の中だね」

「まあ、ルールは守らないとな」



 こうなって俺的には、ざまぁと思う。

 リリノアは俺を捨て、あの男を選んだのだからな。当然の報いである。


 これで綺麗サッパリだ。


 とてもいい気分だ。

 今日やっと俺は過去のトラウマとオサラバできた。もうリリノアのことは考えなくていいのだから。



 俺は新しい恋を始めている。

 日菜がいれば毎日が楽しい。

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