崩壊する世界と箱舟

夜鐘

滅んだ世界を愛そう

 題名:文明の最後を見届けよう。


【NW】人口の半数以上が失われた、全世界を巻き込んだ核による大戦。


 それからおよそ100年、文明はその核戦争による衰退から復興、発展を遂げ、かつてを上回る技術水準に達した。

 しかし、そんな文明もいまや崩壊の真っただ中だ。


 人類の文明が崩壊に向かった理由は複合的なものだった。

 資本主義の限界、環境問題、尽きたリソース、発展しすぎた科学文明などはその最たるものだ。

 NW以前の学者の1人が人類が滅亡する条件として、「大量破壊を望む集団がいること」と「大量破壊能力を大衆に与えるような技術があること」の二つを挙げた。

 シンギュラリティを迎え加速度的に発展した科学は、その条件まであと一歩のところまできた。しかし人類は自らの手で自らの命に手をかけることも叶わず、崩壊を迎えた。

 

 直接的な原因は何だったのか、それも今となっては定かではない。この文明は緩やかに滅びに向かっている。




 ノートから顔をあげ、少し伸びをする。

 遠くから大きな物音が響いた。かつては南極の氷が温暖化の影響を受け崩れていった。今は都市のどこかで建物が崩れたのだろう。

 文明が崩壊してから時間による縛りは無くなったに等しい。それでも活動するならやはり日が出るうちが良いと思い、適当な場所にかけてあったジャケットに腕を通した。

 以前よりもむしろ人の気配がするようになった街へと繰り出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る