EP.??? 舞台裏(キャラ崩壊あり)

EP.1 NGシーン



成功


ピーンポーン

チャイムの音。

「はいはーい」

僕はそう返事をして、玄関へと向かった。

ガチャ

「今日は準備できてる?」

開口一番これだ。

僕の信用は相当無いのだろう。

まあそりゃそうか。

「もうそろそろ来なくなるぞ。今だって久里くりの慈悲みたいなもんなんだから」

久里、というのは、先ほど僕に準備は出来ているかと聞いてきた幼馴染の1人だ。

「ごめんって、久里、陽登はると

僕は2人に謝り、それから「ちょっとだけ待ってて」と言い残して奥へと急いだ。



NG


ピンポーン

「はいはーい」

僕はそう返事をして、玄関へと向かった。

ガチャ

「今日は準備できてる?」

開口一番これだ。

僕の信用は相当無いのだろう。

まあそりゃそうか。

「もうそろそろ来なくなるぞ。今だって久里の慈悲で来てる、あれ?なんかちがくね?」

「カットー!!!!」

カットする人、気合い入ってるなぁ。

「違うよ。えーっと台本台本、あれ台本どこ?」

久里に台本を渡す。

「はい、これ」

「あ、ありがと」

僕たちがそんなやり取りをしていると、琴奈ことなが来て「あの、まだですか?」と声をかけてくる。

「う、すまん。三谷みたに夢羽ゆめばにも謝っておいてくれねぇか?」

陽登が申し訳なさそうに言った。

陽登には申し訳ないけど、久里と2人でちょっと笑った。

テイク2で無事に成功した。




EP.11のエンド分岐 台本読み中



「え、これ大丈夫なんですか?死んじゃったりしませんよね、?」

琴奈が声をあげる。

スタッフさんが「大丈夫ですよ。血糊ちのり使うんで」と言う。

でもやっぱり怖いものは怖い。

「これ、私と陽登だけ2回刺されるよね。ほら、トゥルーエンドとバッドエンドで」

確かに。

というか、僕と三谷さんが久里たちを助けに行こうとするシーンがあるけど、ここって息を合わせないといけないよね。

月夜つきやくん…」

三谷さんが言う。

「ここの対策考えないとですね、どうにかして息ピッタリに言わなきゃ」

僕もそう続けた。

撮影はまだまだ難所が続く。

でも、このメンバーならなぜか超えられる気がする。

…頑張ろう。




EP.12 終了後(微恋愛描写あり)


「---!-----ー!」

タッタッタッ

「…はい、おっけーです!全シーン、撮り終わりました!お疲れ様でした!」

一気に身体の力が抜けて、僕はその場に座り込んだ。

「お疲れ様、みのる

久里が僕に近付いてきてしゃがむ。

綺麗な青い目が、僕を射抜く。

…確かに、これは惚れるな。

「どうしたの?」と首をかしげる君に、きっと君にはわからないことを。

「いや、実の気持ちがわかったな、って」

…個人の設定は、その人しか知らない。

だから、僕が久里のことが好き、なんて、久里は知らないはずなのに。

「っっっ//////」

なぜ久里は、顔を真っ赤にさせているんだろうか。

久里は「と、とりあえずもう行くから!反省会やるから休憩できたら来てね!」と言って、行ってしまった。

その直後聞こえてきた三谷さんと夢羽さん、それから琴奈の話し声で、僕はなぜ久里が知っていたのかを知った。

「知ってます?お姉ちゃん、誰かの台本見ちゃったらしいですよ」

「え?久里ちゃん、誰の見ちゃったの?」

「それ、私は現場を見たわ。久里ちゃん、顔を真っ赤にさせてたのよ。…確か、」

「実くんの台本を見ちゃったんだったかしら」

ああ、そういうことか。

久里、僕の台本見たんだ。

だから、顔を真っ赤に…。

「じゃあ、久里ちゃん、なんで顔が真っ赤だったんだろう?」

「…実さんの台本に、お姉ちゃんのことが好きって書いてあった、とか」

「ありそう!何かそれっぽいよね!」

ふふ、と僕は笑った。

これからが楽しみだ。

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