EP.4 常にそこに

それから、僕たちは大学に着いた。

講義を受けている時にも、頭にはあのメモに書かれた言葉があった。

依織いおり][いじめ][死因]。

この3つの単語が鍵なのだろう。

…考えられる可能性は1つ。

土岐とき 依織はいじめられていた。

それがきっかけで自殺した。

少なくとも僕はいじめていない。

それだけは言える。

なら誰が?

このメモを見れば分かるだろうか。

でも、と僕はメモを見ようとする手をとめた。

『お楽しみですよ』

琴奈ことなの言葉を思い出す。

だから、僕は3人で見ると決め、講義を真面目に受けるということも決めた。

「…」

…なのに横から時々来る視線に耐えきれず、僕は口を開いた。

「…あの、僕に何か用ですか?」

相手は言った。

「もしかしたら勘違いかもしれないから言わなかったけど、あなた、月夜つきやくんよね。月夜 みのるくん」

この人は僕の名前を知っていた。

何とか記憶の底から引っ張り出してみると、彼女を見たことがあると思い出した。

三谷みたにさん?」

「そうよ、思い出したようね。私は三谷 春香はるか。4年前、3年1組だったわ」

三谷さん。

彼女は僕と同じ3年1組のメンバーであり、依織さんの第一発見者だった。

「それで、そのメモってなに?依織ちゃんについて書かれてたみたいだけど」

僕は三谷さんの視力に驚きつつ、「授業後に話すので、大学前のフレンチで待ち合わせしませんか?」と言った。

三谷さんは頷いた。

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