第2話 伝えきれないもどかしさに悶える 「活動の男」
初夏になって来た。会社へ行く道すがら見える色んな庭からふきでてくる植物の勢いが瑞々しい。
元気な有り様を観察するのが割と好きだ。
会社の前の交差点で、A奈と同僚たちがが仲良さげに話しているのを見る。
くせ毛を掻き上げた左手薬指にはもう指輪は無かった。
やっぱり突撃したい。伝えたいこともある。
でも仕事で一緒になっても、距離を置いてこられる事が多くなっている。
流石に凹むわー。
一度なんか、倒れそうだったから、支えて「無理してんじゃないですか……」
「とにかく、休みましょう……」って公園のベンチに座らせて、抱き抱えていたら、急にガバッと身を起こしてきて、
「これ以上は、大丈夫ですので、構わずにいて下さい」と言われてしまった。
仕事はちゃんと出来るのに、何でそんなに軽薄な……
っても言われた。
最初の伝え方が相当勘違いされてるのかなー!
確かに真面目に仕事したいです、そして、(貴女と身体を重ねたいとも思ってますって)、と言いたい。
いや、もう態度に出てるから、拒否られてんのか。
女性は〈受け取る性〉で、俺は〈飛び出す性〉、そんな風に出来ちゃっている身体や文化に「俺は」流されているのか?
ただの欲望が「好き」と言わせて来るのか?
分かんないなー、でも突破したいんだよなー。
凸凹なんだな、自分は、とがっかりする。
でも、皆、あちこちが凹んだり飛び出たり、高かったり低かったりするのじゃないのか……
男女関係無く、だよ。
足りないモノを相手に望んじゃったり、て事?
恋愛観が揺らぐ。
――――――――――――
でも、惹きつけられているこの気持ちはホンモノだと俺は思う。
ぶつけてみる、駄目だったら、時間差でまたぶつかってみる。
諦めたくない。
――――――――――
彼女が合間を縫って、彼女に何度も誘いを掛けた。勿論、仕事での態度はもっともっとキリッとやった。1人の人間としても認められたかった。
諦められないオレはストーカーなのか?
悩んだ。
「違います、Y哉さんはストーカーでは有りません。ただ、私は応えられませんので、お断りをしているのです。」
恋の道は高く険しいなぁ。
――――――――――――
夏の間、ほどほどにアプローチしつつ、断られ、なんか俺お笑い芸人枠か?ってなって来ている。
手を変え品を変え、してたら、笑われるヒトになってきましたよ。
良いのか?、コレ。
――――――――――――
秋に差し掛かる時に、急に溜め息をつかれて
「良いですよ、1回お付き合いします……」と、俺自身信じられない言葉を貰った。
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