❄️2👨

 雲一つない青紫色の朝を、飛空車の最高速度で突っ切っていく。


 遠くの運搬ドローンや飛空車の群れが日の光で輝いてる今日は、ホントなら絶好の飛空車日和ってヤツなんだろう。ただ、今のオレにその爽快感を感じる余裕はない。

 オレの隣――助手席に座るユキは、今までにないぐらい暗く落ち込んでいる。そんな姿をみりゃ一人で清々しい気持ちになんかなれやしない。


「ユキ、休むか?」


「ううん、へいき」


 そう首を小さく振るユキは、ぜんぜん平気そうに見えない。青ざめた顔のまま、さっきから下を向いて黙ったままだ。


 それもしょうがない事かもしれない。

 オレ達は今、ユキの親父のいる病院に向かってる。


 十年前、育児放棄ネグレクトした挙げ句、ユキを捨てた親。

 そして小学生だったオレとユキが離れ離れになって、ユキが一人で施設暮らしをする羽目になった大元凶。


 そんな自分の親父に——自分のトラウマに、ユキはこれから会いに行く。

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