納骨どき

 これは職場の後輩の話ですが、彼の住む地域では納骨の時期が遅いのだそうです。骨壺を各家庭の仏壇に安置しておくのですが、短くても一年、長いと五年や十年はかけるのだとか。

「うちの辺りじゃ、時間をかけてご遺体から魂を完全に抜かないと、お墓に入れたときに寂しがるって言いますねぇ」

 と語る彼は、奥様のお父様が亡くなったとき、四十九日の法要の際に納骨を行ったので驚いたとか。自分の生まれ育った地域が標準だと思っていたが――という話は、冠婚葬祭に関わらずよくあるものです。

「それにしても一年とか五年とか、個人差がずいぶんあるんだね。それって家によるの?」

「いや、亡くなった人の年齢ですね。お年寄りは比較的早いですけど、若い人はかかります。子供なんか長いっすねぇ……」

「へぇ~……」

 その期間ってどうやって決めるの? と尋ねようとした矢先、彼は眉間をポリポリ搔きながら、

「うちの方じゃよく言うけど、『軽くなったら納骨時』ですね」

 と言いました。

 なんでも骨壺の重さが、明らかに変わるのだそうです。昨日まではずっしりと重かったものが、ある人がお線香をあげに来たら途端に軽くなった――なんてことは、珍しくもないのだそう。

 後輩は理系でいわゆる「科学の徒」みたいな人なんですが、このお骨が軽くなる現象については疑問を持ったことがないそうです。

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