第20話 そろそろけじめを付けないとな
今日はみんなと夏祭りに出掛けたりして……その夜。
(ふぅ……今日は特に何もなかったな……)
スマホを指先でスクロールすると、この旅行の写真が次々に表示された。
ビーチでみんなではしゃいだ場面。
バーベキューの匂いまで思い出せそうな夕暮れ時。
シュノーケリングで見た鮮やかな海中。
そして今日の夏祭り──幼馴染み達は、写真の中で、誰もが楽しそうに笑っていた。もちろんオレも。
だがもちろん、少なくともオレの笑顔はハリボテだった。
なぜなら彼女たちは……何も反省していないことが暴露されたから。
(ストーカーが奈々海。盗撮は莉音。しおりは蒐集癖で、エリナは盗聴……)
エリナだけは自白してきたけれど……そう考えると、エリナの感性が最もブッ飛んでいるんじゃないかと思ったりもするが……それはともかく。
(しかも……それらをリークしているのって、たぶん恵なんだよな)
思い出すだけで、背筋に寒気が走る。
オレの財布が切り裂かれていたのは……あれは明らかに刃物で切った痕だ。もちろんオレはそんな真似していないし、だからそのときオレは、ほぼ直感で、財布を切り裂いたのが恵だと悟った。
さらに、莉音が盗撮写真を共有してきたのはそのすぐ後。不自然なくらいタイミングが良すぎる。
しおりのコレクションが玄関に落ちていたのは……さすがのしおりだって、そんなドジをしないだろう。一緒に寝泊まりしている隙をみて、恵がやったに違いない。
だからオレは、途方もない徒労感に襲われていたのだが……でも、この雰囲気を台無しにしたくなった。
だからこれまで、見て見ぬ振りをしてきた。
それに……
きっと恵は、今だって、包丁を構えて待ち構えている。
オレの反応を。
それを思うと、どう行動していいのかまったく分からないというのもあった。
「いずれにしても……全員、オレのことが好きだからこそなんだよな」
そう考えると、胸の奥がずしんと重くなる。
みんな「オレを好き」って言ってくれた。もちろん普通じゃないやり方で想いをぶつけてくるわけだけど……それでも、そんなふうに愛されること自体は、オレも嬉しかったんだと思う。
その結果が、今のヤバイ状況に陥ったわけだが……
(つまり……オレがあいつらを追いつめたってことだ)
幼い頃、みんながオレを好いてくれるのが嬉しくて、誰か一人を選ぶわけでもなく、かといって突き放しもしない。
そんな曖昧さを何年も続けてしまった。いつかはきちんと向き合う必要があると思いながら、ずるずると先延ばしにしてきた。
(それで、あいつらがここまで歪んだ行動をするようになった)
きっと、最初はごく普通の、あるいは些細な恋心だったんだ。
でもそれが、十数年という歳月を掛けて、あまりに大きな、そして歪んだ愛情に育ってしまった。
育ててしまったのだ……オレが。
「そろそろけじめを付けないとな……この関係に」
そうしてオレは、拳を握り締めるのだった。
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