TS同級生が可愛すぎて薄い本になっちゃうお話
緋名坂ミヤビ
#1 澄川夕希は入り浸る
ここは東京のとある学生アパート。
家主の大学三年生・青山
――小柄な同級生が、「よ」、と片手を上げた。
同級生の名は
一八〇センチある宗助とは二回りほど――十五センチは違うだろうか――小さく、顔立ちも幼いため、一見して後輩のような雰囲気を湛えている。
「お疲れ、澄川」
「おっつぅ〜宗助」
見れば、もう一方の手にはコンビニ袋。ビールと乾きものが入っている。
「せっかくだし一杯やろ~ぜ」
「今週四回目だけどな」
何をもって『せっかく』なのかと苦笑すれば、夕希もわかっているとばかり悪戯っぽく笑う。
二年前、大学入学直後にちょっとしたことで仲良くなり――いつしか夕希が入り浸るようになった。
彼の選んだバイト先がここの近くだったのは全くの偶然であったが、孤独を感じがちな東京一人暮らし、賑やかな友人が出入りすることに関しては、宗助自身も決してマイナスとはとらえていなかった。
「――でさ、オーダーミスでえらいことになって……」
「ケンカの仲裁したら弾き飛ばされて尻もちついてさぁ、、」
「で、落ち着いたと思ったら、今度は飛び込みの団体客が入っててんやわんやで……」
今日の居酒屋バイトでの出来事を宗助に話しながら飲む夕希。
けれど、不平不満をあげつらうのではなくて、あくまでユーモア交じり。
オーダーミスでやんやのクレーム、隣のテーブルでは客が大ゲンカ。対処を終えたら今度は二次会コースの飛び込み客が三十人も押し寄せて……と、なかなかにハードだったようた。表情からも疲れが見て取れる。
「ま、そんな仕事のあとの缶ビールがまた格別なんだけどねぇ~」
「冷蔵庫にもあるから遠慮なく飲んでいいぞ。今つまみ作るから」
妙におっさん――いや、OLが近いか?――めいて頬を赤くする夕希に、宗助は労いを込めて台所に立つ。
「簡単なやつだけど」
「おぉ⭐︎さんきゅ~宗助♪」
振舞った手料理を美味しそうに口にする夕希を見ると、宗助もまたどこかほっとする思いを胸に感じて。
銀色のビール缶を傾ければ、酔いも手伝って話は弾み、次第に夜は更けていくのだった。
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