異世界行ったらモテモテになっちゃった!
霧乃遥翔
第1話 「突然の召喚、そしてまさかのモテ期スタート!?
深夜までゲームをしていた俺、佐伯ユウヤは、いつものようにベッドに倒れ込んで寝落ちした。
気づけば朝だろうか。うう、ノドが渇いたなあ……と思って瞼を開くと、目の前には見慣れない白亜の大広間が広がっていた。
「……え?」
最初は寝ぼけているのかと思ったが、まぶしすぎるシャンデリアや大理石風の床、そして遠くに見える高い天井に驚愕する。
さらに周囲を見渡せば、絵画のように華やかな衣装を身にまとった人々や、そこかしこに並ぶ甲冑、あるいはきらびやかな装飾品の数々。そう、まるでファンタジー映画のセットのようなのだ。
しかもその人々の中には、よく見ると長い耳をしているエルフらしき美女や、胸元が大胆に開いたドレスを着た女性たちがいて、まるでコスプレ集団のようでもある。
ただ、それはあまりにリアルで、どう見ても本物にしか見えない。これは一体、夢なのか? どんなドッキリだ?
そんな疑問を抱えている俺の前に、王冠をかぶった壮年の男性が堂々と歩み寄ってくる。国王っぽいビジュアルだが、威厳あるまなざしのわりに、どこか気さくそうな印象も受ける。彼は大きく胸を張り、ハッキリした口調で言い放った。
「よくぞ来てくれた、勇者よ! そなたが我が国に降臨せし救世主だ!」
「は……? いや、そんなわけ……」
国王の周囲に侍っているのは騎士風の男たちや、優雅なドレスをまとった貴婦人たち。全員が「勇者様……」「ついにおいでくださいましたか」なんて口々に囁いている。どうやら俺は“勇者召喚”とやらで、この世界に呼び出されたらしい。
信じられない話だが、先ほどからの光景を見れば半ば納得してしまう。
「あ、あの……俺、ただの大学生なんですが」
とりあえず抵抗しようとするも、まわりの面々は「勇者様、ようこそ!」と熱い視線を送ってくる。特に女性陣の目がキラキラ輝いていて、その様子が普通じゃない。
エルフの美女なんて俺の顔をまじまじと見つめて、
「まあ……勇者様、とても彫りが深いお顔立ち。頬や顎のラインも素敵ですわ」
と、顔の輪郭を褒めるではないか。いやいや、そんなこと言われ慣れてないし、顔を覗き込まないでくれ。
おまけに、胸元の開き具合が気になって目のやり場に困る。こんなシチュエーション、大学生活ではあり得なかったぞ……。
さらに視線を感じるまま振り向けば、今度はふんわりした髪を垂らした令嬢風の女性が、俺の肩幅や腕をチェックしている。
「勇者様は男性らしい逞しさもお持ちのようですね。力強い腕をしていらっしゃる……」
「は、はあ……」
思わず受け答えが曖昧になる。こんな突拍子もない場所に放り込まれたうえ、女性に凝視されて褒められるなんて人生初だ。まるで芸能人にでもなったみたいだが、一体なんなんだこの状況は……?
王冠をかぶった国王はやたらと嬉しそうに続ける。
「そなたは、この世界を脅かす魔王を倒すべく選ばれた勇者。その尊い力で、我が王国を、そして全世界を救ってほしいのだ!」
その宣言に合わせるように、広間の左右に並んでいた騎士やら貴婦人やらが一斉に頭を下げた。
「勇者様、どうかお力を貸してください」と。
唐突すぎて頭が追いつかないが、“魔王を倒す”という使命を担わされるのは重すぎるだろ!
けれど、その重責以上に俺を困惑させたのは、やたら密着してくる女性たちの態度だった。どこからともなく現れたメイドのような娘が俺の服の裾を整えてくれようとするし、ドレス姿の女性が「勇者様に差し入れを……」とグラスに注いだ飲み物を手渡してくれるのだが、すっごく胸元が近い。ちらっと視界に入る谷間に赤面せずにはいられない。
「なんかみんな、やたら優しくないか……?」
どうやら、この世界では“勇者”という存在は神聖視されていて、とんでもない好感度バフみたいなものがかかっているらしい。俺に向けられる視線が、熱烈かつ興味津々で、ちょっと怖いくらいだ。
(これ、もしかして……モテてるってこと?)
そんな呑気な考えが頭をよぎるが、もちろん状況自体は笑いごとじゃない。魔王を倒すことなんて、ゲームの世界なら主人公がやる王道イベントかもしれないが、現実だと命がけの大問題だ。それに、俺は本当に“勇者”なんかじゃない。異世界転移でチート能力をゲットしてるかどうかも全然わからないし。
だけど周囲の様子を見れば、誰も疑いなく俺を崇めている。熱視線が注がれることの気まずさと、恥ずかしさ、そしてほんの少しの優越感。この複雑な感情に押し潰されそうになっていた。
(これからどうなるんだ……?)
だが、このときはまだ知らなかった。俺の“モテモテでちょっとエッチなトラブル”が、これから次々と降りかかることを……。
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