クラス

「くっ、この僕をこうも簡単に・・・・・・小娘、貴様相当な実力者だな?最初に水をこちらへ飛ばして意識を逸らし、そこから流れるような蹴り。体術の達人でないとできない芸当だ。違うか?」


 違うよ。

 剣術は免許皆伝だけど、蹴りは教わってないよ。あとその言い方だと水も手動で飛ばしたことになるんだけど。


「ふっ、まぁいいだろう。安易に手の内を明かすのは愚か者のすることだ。ちなみに僕はアウレア格闘術四級だ!」


「え?」


 せんせーが驚愕の声を出した。そんなすごいの?


「アウレア格闘術一式『聖拳突気』!」


 その言葉と同時に繰り出されたのは、正拳突き。まさしく、という他ない見事な正拳突きだった。


「これを避けるか!なら、アウレア格闘術二式『魔慧蹴』!」


 続いて放たれたのはこれまた見事な前蹴り。お手本のような蹴りに、先ほどのドヤ顔も納得できるほどだ。


「なぜ当たらないんだ!アウレア格闘術三式『頭月』!」


 今度は本物とはこういうことだ、と言わんばかりの頭突き。

 いちいちアウレア格闘術から言うし、これ絶対実戦向きじゃないよな。どっちかって言うと見せる為の技って感じ。当たるわけないだろ、そんなの。


「『喉笛』」


「っ!?」


 説明しよう!喉笛とは、獣剣流の技の一つだ!剣を使わずに片手で喉笛を引きちぎるというとんでも無いもので、今は喉をつかんだあたりで寸止めしている。目の前でスプラッタホラーなんか見たく無いし、できればこのまま降参してほしい。


「な、なかなかの腕前だな。これなら僕の護衛として雇ってやっても良いぞ?」


 イラッ


「うげっ!?痛い痛い痛い、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!あああああああ!」


 やば、あまりにムカついて力をこめてしまった。あと少しで肉が抉れるところだった、危ない危ない。

 しかしこいつ面の皮厚すぎないか?


「ふん、気合いは十分なようだな。では今日から僕のごえ、ぐっ、うぅ」


 どうすりゃ良いんだこいつ。


「あ、そ、そこまで」


 ?ああ、決闘なんだっけ。離してあげよう。


「ゲホッ、ゴホッ、ぐっ、ガハッ」


「リーン、戻ろ」


 そういえば一人称をどうするか決めてなかった。よく今までバレなかったな。

 いや、中身が転生者でしかも男とか誰も考えないか。ふむ、無難にワタシとかで良いかな?いいな。


「ま、て・・・・・・」


 あ、戻るんじゃなくて教室行くのか。道分かんないしついてこ。






 ◇◇◇◇






「えー、今日からお前らを担当することとなったティチャーだ、よろしく頼む」


『よろしくお願いします!』


 なんか小学校を思い出す。いや、年齢的には小学生だな。


「俺が担任となったからには、お前たちはこの学校で誰よりも強くなってもらう。覚悟しておけよ?ついてこれないやつは置いていくからな」


 ハズレか?スパルタの匂いがプンプンするぜ。


「シルヴィアちゃん、一緒に頑張ろうね!(小声)」


 せやな。

 ああ、ちなみに教室は大学のようになっていて、席の指定はない。リーンは当然のように隣に来た。リーンって明るいし顔整ってるからモテるんだろうな。

 あれ、なんかモヤッとする。これが男を連れてきた娘を見た時の父親の気持ちか。フクザツだぜ。


「では、1人ずつ自己紹介をしてもらおう」


「では、まず私から。私はマズィメ・インチョー。このクラスでイジメは起こさせません、よろしく」


 最初に立ち上がったのは委員長してそうなメガネの男子。この世界では異世界人を除けば貴族や王族以外は苗字を持たない。つまりこいつは偉いということだ。逆らわないようにしよう。


「次は俺だな。俺はガキタイ・ショウ、よろしく!」


 続いて名乗り出たのはクラスの輪の中心にいる、たまに問題起こすけどなんだかんだで慕われてそうな感じの、なんか、うん。陽キャ。



 とまあそんな感じに進んでいき、いよいよオレの番。これ以上目立ったら取り返しがつかないからここでいかに地味な自己紹介ができるかだな。


「名前はシルヴィア。よろしく」


 これね、なんだこいつって思われるけどしばらくしたら記憶から消えるんだよ。なんの印象も残さない。


「私はリーン=エレオノーラ。みんなと仲良くしたいので、いっぱい話しかけてね!」


 お手本の如き自己紹介。これはモテる、男女関係なく。というか貴族だったのか。今後口に気をつけよう。


「僕の名はエドワード・ヴィンフリートだ。長生きしたければ僕の気分を害さないことだな」


 エドなんたら改めエドワードくんじゃん。同じクラスだったのか!取り巻き2名もしっかりいる。しかしなんとも高飛車な自己紹介だな。友達減るぞ?


「わたくしはクリスティーナ=エルサ・ルミナリアです。どうぞよろしく」


 あれ?ルミナリアってこの国の名前じゃね?王女?


「僕はルイ・アンドレアスです、以後よろしくお願いします」


 どう見たって優男だぁ。


「よし、全員自己紹介は終わったな?それじゃあ、今からこの学校について説明するぞ」


 王女様までいるのかこのクラス。というか貴族多くない?平民枠少ないし。いじめられないかね?いざとなったらマジメくんに頼ろう。







 ◇◇◇◇






「さて、この学校に関しては以上だ。質問があったら後で個別で聞きに来い」


 2時間くらいしてやっと終わった。この学校話長いやつ多くない?



「ねぇねぇリーンちゃん、エレオノーラって五大貴族でしょ?すごいね」


「何が好きなの?」


 早速集まってきたな。空気に徹することとしよう。


 ところで、五大貴族ってなんだ?どう考えてもかなり偉いと思うんだが。


「シルヴィアちゃん、一緒に話そうよ」


 やっぱきたか。さて、どうしよう。


「リーンちゃんあの子と仲良いの?」


「小娘、僕ともう一度戦え!」


「シルヴィアちゃんってなんか長くねー?」


 1人変なのが混じってた気がするが無視。


「確かに、なんかあだ名つける?」


「良いねそれ!仲も深まりそう!」


 なんでそうなる?


「んー、じゃあシアちゃんとか?」


「それかわいいね!じゃあ、今日からシアちゃん!だね」


 えー、なんかあっという間にあだ名つけられた。

 せっかくだしこの場で軽く質問しとくか。


「五大貴族って何?」


「え!?五大貴族知らないの!?」


 今の流行りを知らないやつみたいな目で見られた。流行りでもなんでもないだろうけど。


「知らないなら教えてやるよ!五大貴族ってのは、この国で王族の次に偉い人たちのことで、爵位としては一番上の大公なんだぜ!」


「ちなみに、みんなこのクラスにいるよ?リーンちゃんとエドワードくんとマズィメくん、ガキタイくんにルイくん。しかも王女様までいるの!普通なら考えもしないくらいの幸運だよ!」


 お、おう。そんなすごいのか。不敬罪で首を刎ねられないようにしないと。

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