蟻から始まる現代ライフ~異世界から侵略された地球を守っているのは人間だけではありません~
ももぱぱ
第一章 家族を守れ編
第1話 駄女神に邪魔された! ○
大変長らくお待たせいたしました。
申し訳ありませんが、コンテストに参加するため、改めてこちらで投稿させてください。まずは8~10万字を目指して頑張ります!
フォローと☆もよろしければお願いします。m(_ _)m
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僕が苔に転生してからおよそ八十年の時が経った。オーロラを始め、親しくなった人達はみんな死んでしまった。全員が寿命を全うできたみたいだから仕方がないんだけど、やっぱり少し悲しい。
もちろん、生きている者達もいる。古の種族のオッチョさん、ドラゴン族のズメイやヴォーラ達、ドワーフのゴーダさんやエルフのシルフィさんなどはまだまだ元気いっぱいだ。
だけど、オーロラの死を看取ってから一年以上が過ぎた今、僕はもうこの世界で生きていく意味を失っていた。
(そろそろ、元の世界に帰るか……)
長年の研究により、地球の場所はすでにわかっている。転移のために必要な魔力もすでに溜まっている。後は覚悟さえ決まればいつでも転移ができるはずだ。
僕は様々な終活を終え、初めてこちらの世界に転移してきた池の畔へとたどり着いた。
(全てはここから始まったんだよな。大変ではあったけど、楽しい生活だった。この世界ともお別れだ。地球に帰ろう!)
僕は地球を座標をイメージし魔力を高める。時間軸は……僕が向こうで死んだ直後にしよう。座標と時間のイメージを固定し、いざ転移しようとしたときそいつは現れた。
「じゃじゃーん! あなたが無防備になるところを八十年も待ってましたぁ! あの時のげんこつの仕返しです! えいっ!」
アスパラガス駄女神が突如現れ、転移直前の僕に何か呪いみたいなものをかけてきた。そのせいで、転移の座標と時間軸がわずかにずれる。あっ、これは呪いじゃなくて転生の魔法か!?
「このだめがぁぁぁみぃぃぃ……」
途中で転移を止めることができず、僕は光に包まれ地球のどこかへと転生してしまった。
▽▽▽
「そっちに一匹行っ…… 気をつけ……」
「こっちは任……。それより、……の方に……」
「うぉ、思ったより……」
何か声が聞こえてくる。
さて、僕は今、何をしていたんだっけ?
えーと、苔に転生して、カブトムシになって、猫になって、神になって……
!? 地球!? 地球に帰ってきたのか?
【スキル 再生を手に入れました】
おや、なぜか身体が上手く動かないな。目もよく見えないし、耳も聞こえない。でも、なぜか空気の流れを感じる……触覚で。
おいおい、この感覚はビートルに進化した時と同じ感じがするぞ。もしかして、僕はまた昆虫に転生してしまったのではないか? そして現在進行形で身体がシュウシュウいいながら再生している。つまり、僕は怪我を負った、いや一度死にかけた昆虫に転生したというわけか。
何てことだ。全てはあの駄女神のせいだな。いったいここはどこで、いつの時代なのだろうか? でも、さっき日本語が聞こえてきた気がする。あれ? もしかして、僕が死にそうな怪我をしているのって、その日本語を話していた人間にやられたとか?
【スキル 魔力回復を手に入れました】
うん、さっきから何か聞こえてくるね。スキルを手に入れたってさ。ここが地球だとしてなぜにスキル? それに僕の身体、昆虫にしては何だか大きいような。体感で一メートルくらいあるぞ。そして、このフォルムは……
(ステータスオープン!)
種族 メタルアント(変異種)
名前 ミスト
ランク G
レベル 1
体力 1/10
魔力 5/10
攻撃力 5
防御力 10
魔法攻撃力 0
魔法防御力 10
敏捷 10
スキル
再生 New!
魔力回復 New!
称号
帰還者
でちゃいましたよ。ステータスが出ちゃいましたよこれ。地球なのか? ここはまた異世界なのか? それに種族がメタルアントって、これ魔物やん。絶対アリ型の魔物やん。
ちょっと待って。少し頭を整理させて。それに状況も確認したい。
【スキル 思考加速を手に入れました】
【スキル 並列思考を手に入れました】
なんだなんだ? 随分簡単にスキルが手に入るな? これは、顔のついた列車のキャラを彷彿させる称号のおかげか?
えーと、駄女神に邪魔されて、座標と時間がずれて……でもそれほど大きくはずれてない気がする。場所はかなりイメージ通りにいったと思うんだけど、時間が少し未来にずれたか?
それにこのステータスを見る限り、僕は魔物だ。今まで獲得してきたスキルは全て失ってしまったようだけど、新たなスキルを獲得している。つまりここは未来の地球で、なぜか魔物がいて、スキルがあって、ステータスがある世界という可能性が一番高いと思う。
……そんなことある? 地球にスキルや魔物? どうなってるんだ未来の地球は。
そうこうしているうちに、僕の身体の修復が終わったようだ。半分に千切れかけていた胴体が元に戻っている。それに伴って、目や耳も復活してきたようだ。
さて、昆虫の身体は久しぶりだけど、普通に動かせた。それこそ身体が覚えていたようだ。しばらくぶりに自転車に乗っても大丈夫なのと同じ感覚か。
僕は触覚をピクピク動かし、周囲の状況を確認知る。
「こっちに一匹生きてるのがいるぞ! さっきは間違いなく死にかけてた個体だ。治癒魔法か再生スキル持ちかもしれん。なぜか倒す前と色も変わっている。
「近づかない方がいいわ。モエ、ファイアーボールをお願い。マサルも弓で援護して」
「はいはいーい! みんな、下がっててね! マサル、そっちの準備ができたら教えて! 時間差で撃つよ!」
「オッケー、モエ。こっちは準備完了だ! いつでもいいぞ!」
うん、今度ははっきりと声が聞こえてきた。これは間違いなく日本語だね。だけど、会話がまるで冒険者のそれだ。死にかけていたのに傷が治っている魔物がいて、変異種かもしれないから、遠距離から魔法と弓で攻撃するって言ってるね。感慨深さを感じるどころか、すごく物騒なんだけど。
……狙いは僕!?
身体が修復されたからだと思うけど、先ほどよりはっきり見えるし、よく聞こえる。僕の複眼が捉えたのは、四人の冒険者風の男女だった。そのうち一人はファイアーボールを放つ寸前で、もう一人はこちらに弓を構えている。
(に、逃げろぉぉぉぉ!?)
僕は六本足を素早く動かし方向転回すると、冒険者風の男女から離れるように駆けだした。
「あ、逃がさないんだから! ファイアーボール!」
「いけ、パワーショット!」
逃げ出す僕の背後から、嫌なセリフが聞こえてきた。僕の解釈に間違いがなければ、今まさに僕に向かって火の玉と矢が飛んできているはずだ。
【スキル 危機察知を手に入れました】
僕は手に入れたばかりの危機察知にしたがって、突如直角に曲がる。昆虫ならではの動きだ。
バシュ!
危なかった。直進していたら、あの火の玉が直撃するところだった。よくやった危機察知君!
【スキル 火耐性を手に入れました】
おっと、直撃は避けたけど足の先が少しかすっていたようだ。痛いけど我慢できないほどじゃないな。
【スキル 痛覚耐性を手に入れました】
おし、いいものが手に入った。痛みがほとんどなくなった。再生もすでに始まってるし。これは何とかなりそうか?
敏捷10がどのくらいの速さなのかわからないけど、冒険者達は僕を追いかけてくるつもりはなさそうだ。ただ、僕を狙う冒険者達が彼らだけとは限らない。早く安全なところを探さなくては。
僕は視覚と聴覚、それに触覚の情報を頼りに走りながら周囲を注意深く観察していく。すると、僕と似たようなフォルムの魔物達がぽっかりと空いた穴の中から出てくるのが見えた。
ひょっとして、あそこがメタルアントの巣なのか? あの魔物達には襲われないみたいだから、とりあえず入ってみるか。
僕は這い出てくるメタルアントの隙間を縫って、穴の中に入ってみた。
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