第13話 決起の夜
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少年が鍛錬を積む時と同時刻。アドニスはミレアを宮廷医師の元へと連れて行く。彼女の折れた鼻骨と片腕。その二つは完治していた。
ミレア「...ありがとうございます。」
アドニス「気にする事は無いさ。それに君の身体の事だ、気に掛けないわけが無いだろう?」
彼女は痛みも無く全快した自身の身体を見る。ここまで早く治るものかと驚くばかりだが、それと同時に胸騒ぎがする。またあのメイド達と仕事をしなくてはならない。
だがそれはメイドとして必然。至極真っ当な事だろう。彼女はそう割り切りながらアドニスに礼を言った。
ミレア「そうですか...本当にありがとうございます。」
彼女はそう言って頭を下げる。そんな彼女を見て、彼は呟いた。それは微かな問いで、彼女以外には聞こえない物だった筈だが、彼女の耳にはそれがハッキリと聞こえる。
アドニス「ミレア。君は...メイドとして職を続けるのかい?」
ミレア「えっ...?」
唐突に問われるその問い。その意味が理解し難く、彼女は思わず声を漏らす。だが彼は真っ直ぐな瞳で彼女を見据えていた。ミレアは何故そんな事を聞くのか不審に思いながらも答える。
ミレア「もしもメイドを辞めたら...ご主人様とは離れ離れですよね...?」
アドニス「あぁ。残念だがそうなってしまう。僕とジョアノが彼を王宮に引き留めようとするだろうからね。」
ミレア「...そうですよね。まぁでも、私が王宮で働く理由はご主人様の御傍に居る事ですから...仕事を辞めようとは考えていませんけど...。」
アドニス「そうか...。済まないね、変な事を訊いてしまった様だ。」
そう言うと彼は扉を開いた。
アドニス「ミレア。君は部屋に戻ってくれ。僕はこれから...やるべき事が有るからね。」
ミレア「...分かりました。失礼します。」
彼女はそのまま部屋を出ると、自身の部屋に向かって歩き始める。その間も彼の問いの意味を考えていたが、何れは分かる事だろうと考えを捨て去るのだった。
部屋に戻るの後ろ姿をミレアを、アドニスは悲哀の目で見詰めていた。
アドニス「...話をつけようか。」
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